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02月16日-02号

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  1. 神奈川県議会 2023-02-16
    02月16日-02号


    取得元: 神奈川県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-16
    令和 5年 第一回 定例会 △《本会議録-令和5年第1回-20230216-029366-諸事項-出席議員等・議事日程-》         令和5年第1回神奈川県議会定例会会議録第2号〇令和5年2月16日 午後1時開議   ───────────────────────────────────────〇本日の出席議員 議長共100名       出 席 議 員                       加   藤   ご   う                       大   村       悠                       桝       晴 太 郎                       永   田   磨 梨 奈                       永   田   て る じ                       菅   原   あきひと                       須   田   こうへい                       す と う   天   信                       上   野   た つ や                       石   田   和   子                       田   村   ゆうすけ                       松   長   泰   幸                       山   口   美 津 夫                       高   橋   延   幸                       武   田       翔                       田   中   信   次                       川   崎   修   平                       神   倉   寛   明                       お ざ わ   良   央                       た め や   義   隆                       飯   野   まさたけ                       望   月   聖   子                       佐 々 木   ナ オ ミ                       柳   瀬   吉   助                       市   川   さ と し                       佐   藤   けいすけ                       大   山   奈 々 子                       君   嶋   ち か 子                       石   川       巧                       芥   川       薫                       川   本       学                       市   川   和   広                       山   本       哲                       綱   嶋   洋   一                       新   堀   史   明                       田   中   徳 一 郎                       野   田   治   美                       脇       礼   子                       石   川   裕   憲                       米   村   和   彦                       栄   居       学                       小   林   大   介                       京   島   け い こ                       井   坂   新   哉                       佐 々 木   ゆ み こ                       楠       梨 恵 子                       西   村   く に こ                       谷   口   かずふみ                       藤   代   ゆ う や                       渡   辺   紀   之                       原       聡   祐                       高   橋   栄 一 郎                       あ ら い   絹   世                       柳   下       剛                       細   谷   政   幸                       河   本   文   雄                       内   田   み ほ こ                       中   村   武   人                       古   賀   照   基                       青   山   圭   一                       斉   藤   た か み                       赤   野   た か し                       亀   井   たかつぐ                       渡   辺   ひ と し                       小 野 寺   慎 一 郎                       長   田   進   治                       国   松       誠                       杉   本       透                       し き だ   博   昭                       小   島   健   一                       いそもと    桂 太 郎                       梅   沢   裕   之                       嶋   村   た だ し                       桐   生   秀   昭                       浦   道   健   一                       市   川   よ し 子                       岸   部       都                       く さ か   景   子                       菅   原   直   敏                       北   井   宏   昭                       相   原   高   広                       鈴   木   ひ で し                       藤   井   深   介                       森       正   明                       土   井   りゅうすけ                       杉   山   信   雄                       小   川   久 仁 子                       持   田   文   男                       竹   内   英   明                       佐 々 木   正   行                       加   藤   元   弥                       松   田   良   昭                       牧   島       功                       堀   江   則   之                       作   山   ゆうすけ                       松   本       清                       た き た   孝   徳                       松   崎       淳                       近   藤   大   輔                       曽 我 部   久 美 子       説明のための出席者         知事            黒   岩   祐   治         副知事           武   井   政   二         同             小 板 橋   聡   士         同             首   藤   健   治         政策局長          平   田   良   徳         総務局長          筒   浦   浩   久         くらし安全防災局長     佐   川   範   久         スポーツ局長        三   枝   茂   樹         環境農政局長        鈴   木   真 由 美         福祉子どもみらい局長    橋   本   和   也         健康医療局長兼未病担当局長 山   田   健   司         産業労働局長        河   鍋       章         県土整備局長        大   島   伸   生         デジタル行政担当局長    尾   﨏   美 貴 江         共生担当局長        川   名   勝   義         教育委員会教育長      花   田   忠   雄         同  教育局長       田   代   文   彦         警察本部長         林           学         同  総務部長       重   江   光   一   ───────────────────────────────────────       議会局出席者         議会局長          浦   邊       哲         議会局副局長兼総務課長   高   瀨   正   明         同  議事課長       井   上       実         同  政策調査課長     大 河 原   邦   治   ───────────────────────────────────────           令和5年第1回神奈川県議会定例会議事日程第2号                            令和5年2月16日午後1時開議第1 定県第 1 号議案 令和5年度神奈川県一般会計予算   定県第 2 号議案 同  年度神奈川県市町村自治振興事業会計予算   定県第 3 号議案 同  年度神奈川県公債管理特別会計予算   定県第 4 号議案 同  年度神奈川県公営競技収益配分金等管理会計予算   定県第 5 号議案 同  年度神奈川県地方消費税清算会計予算   定県第 6 号議案 同  年度神奈川県災害救助基金会計予算   定県第 7 号議案 同  年度神奈川県恩賜記念林業振興資金会計予算   定県第 8 号議案 同  年度神奈川県林業改善資金会計予算   定県第 9 号議案 同  年度神奈川県水源環境保全再生事業会計予算   定県第 10 号議案 同  年度神奈川県沿岸漁業改善資金会計予算   定県第 11 号議案 同  年度神奈川県介護保険財政安定化基金会計予算   定県第 12 号議案 同  年度神奈川県母子父子寡婦福祉資金会計予算   定県第 13 号議案 同  年度神奈川県国民健康保険事業会計予算   定県第 14 号議案 同  年度地方独立行政法人神奈川県立病院機構資金会計予算   定県第 15 号議案 同  年度神奈川県中小企業資金会計予算   定県第 16 号議案 同  年度神奈川県県営住宅事業会計予算   定県第 17 号議案 同  年度神奈川県流域下水道事業会計予算   定県第 18 号議案 同  年度神奈川県水道事業会計予算   定県第 19 号議案 同  年度神奈川県電気事業会計予算   定県第 20 号議案 同  年度神奈川県公営企業資金等運用事業会計予算   定県第 21 号議案 同  年度神奈川県相模川総合開発共同事業会計予算   定県第 22 号議案 同  年度神奈川県酒匂川総合開発事業会計予算   定県第 23 号議案 神奈川県国民健康保険広域化等支援基金条例を廃止する条例   定県第 24 号議案 地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例   定県第 25 号議案 事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例   定県第 26 号議案 神奈川県職員定数条例の一部を改正する条例   定県第 27 号議案 特別会計の設置に関する条例の一部を改正する条例   定県第 28 号議案 神奈川県観光振興条例の一部を改正する条例   定県第 29 号議案 認定こども園の要件を定める条例の一部を改正する条例   定県第 30 号議案 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例   定県第 31 号議案 指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例   定県第 32 号議案 指定障害児入所施設等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例   定県第 33 号議案 神奈川県歯及び口腔(くう)の健康づくり推進条例の一部を改正する条例   定県第 34 号議案 港湾の設置及び管理等に関する条例の一部を改正する条例   定県第 35 号議案 土採取規制条例の一部を改正する条例   定県第 36 号議案 神奈川県県営住宅条例の一部を改正する条例   定県第 37 号議案 神奈川県公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例   定県第 38 号議案 市町村立学校職員定数条例の一部を改正する条例   定県第 39 号議案 神奈川県地方警察職員定数条例の一部を改正する条例   定県第 40 号議案 神奈川県迷惑行為防止条例の一部を改正する条例   定県第 41 号議案 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に係る信号機等に関する基準を定める条例の一部を改正する条例   定県第 42 号議案 建設事業等に対する市町負担金について   定県第 43 号議案 かながわ男女共同参画推進プランの変更について   定県第 44 号議案 包括外部監査契約の締結について第2 定県第 144号議案 令和4年度神奈川県一般会計補正予算(第7号)   定県第 145号議案 同  年度神奈川県市町村自治振興事業会計補正予算(第1号)   定県第 146号議案 同  年度神奈川県公債管理特別会計補正予算(第1号)   定県第 147号議案 同  年度神奈川県公営競技収益配分金等管理会計補正予算(第1号)   定県第 148号議案 同  年度神奈川県地方消費税清算会計補正予算(第1号)   定県第 149号議案 同  年度神奈川県災害救助基金会計補正予算(第1号)   定県第 150号議案 同  年度神奈川県水源環境保全再生事業会計補正予算(第2号)   定県第 151号議案 同  年度神奈川県介護保険財政安定化基金会計補正予算(第1号)   定県第 152号議案 同  年度神奈川県国民健康保険事業会計補正予算(第1号)   定県第 153号議案 同  年度地方独立行政法人神奈川県立病院機構資金会計補正予算(第1号)   定県第 154号議案 同  年度神奈川県県営住宅事業会計補正予算(第2号)   定県第 155号議案 同  年度神奈川県流域下水道事業会計補正予算(第2号)   定県第 156号議案 同  年度神奈川県電気事業会計補正予算(第2号)   定県第 157号議案 神奈川県子ども・子育て基金条例   定県第 158号議案 収入証紙に関する条例の一部を改正する条例   定県第 159号議案 神奈川県手数料条例の一部を改正する条例   定県第 160号議案 幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例   定県第 161号議案 神奈川県手話言語条例の一部を改正する条例   定県第 162号議案 介護保険法施行条例の一部を改正する条例   定県第 163号議案 神奈川県建築基準条例の一部を改正する条例   定県第 164号議案 神奈川県宅地造成等規制法関係手数料条例の一部を改正する条例   定県第 165号議案 神奈川県道路交通法関係手数料条例の一部を改正する条例   定県第 166号議案 工事請負契約の締結について(県営いちょう下和田団地公営住宅新築工事(建築-第1工区)請負契約)   定県第 167号議案 工事請負契約の締結について(県営いちょう下和田団地公営住宅新築工事(建築-第2工区)請負契約)   定県第 168号議案 工事請負契約の締結について(県営伊勢原峰岸団地公営住宅新築工事(1期-建築)請負契約)   定県第 169号議案 工事請負契約の締結について(県営綾瀬寺尾団地公営住宅新築工事(1期-建築-第1工区)請負契約)   定県第 170号議案 工事請負契約の締結について(横浜緑ケ丘高校体育館(柔剣道場)他新築工事(建築-第1工区)請負契約)   定県第 171号議案 建設事業等に対する市町負担金について   定県第 172号議案 訴訟の提起について   定県第 173号議案 和解について   定県第 174号議案 令和4年度神奈川県一般会計補正予算(第8号)   定県第 175号議案 同  年度神奈川県流域下水道事業会計補正予算(第3号)   定県第 176号議案 同  年度神奈川県水道事業会計補正予算(第3号)   定県第 177号議案 同  年度神奈川県電気事業会計補正予算(第3号)   定県第 178号議案 同  年度神奈川県相模川総合開発共同事業会計補正予算(第2号)   定県第 179号議案 建設事業に対する市町負担金について   ─────────────────────────────────────── △《本会議録-令和5年第1回-20230216-029367-質問・答弁-長田進治議員-代表質問①知事の3期12年間の総括と今後の決意について②県政の未来に向けた施策について③県民生活に直結した取組について④本県の活力を生む施策について⑤県政の重要課題について》    〔議会局長報告〕  出席議員 議長共98名 ○議長(しきだ博昭) ただいまから、本日の会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○議長(しきだ博昭) 審議を行います。  日程第1、定県第1号議案 令和5年度神奈川県一般会計予算外43件及び日程第2、定県第144号議案 令和4年度神奈川県一般会計補正予算外35件、以上一括して議題といたします。  これより質問並びに質疑を行います。  質問の通告がありますので、順次発言を許します。  長田進治君。  〔長田進治議員登壇〕(拍手) ◆長田進治議員 皆さん、こんにちは。  自民党の長田進治です。  自由民主党神奈川県議会議員団を代表し、順次質問させていただきます。  質問に入る前に、10日前にトルコ南部にて発生した大規模地震について申し上げます。  現在のところ、隣国シリアを含めて、4万1,000人以上の方が犠牲になられているとのこと。親日国として知られるトルコですが、明治23年に和歌山県沖で沈没したトルコの船、エルトゥールル号の乗組員を現地の人々が懸命に救助した出来事をトルコの人々は今も忘れずにいてくれ、昭和60年にイラン・イラク戦争が勃発した際、イランの首都テヘランに取り残された日本人215人をトルコの航空機が救出してくれたほか、東日本大震災の際に、多くの救助隊の皆さんが被災地に駆けつけてくださった経緯があり、私たち日本国民も、この恩を忘れてはならないと感じております。  まずは、お亡くなりになられた方たちに対して、衷心より哀悼の意を表するとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。  さて、私ども議員にとりましても、黒岩知事にとりましても、4年の任期最後の定例会であり、改選に向けて県民に対して、これまでの県政のありようと、これからの展望を示し、御判断いただくための大切な議論の場となりますので、先輩、同僚の皆様には、最後まで御清聴いただきますようお願い申し上げます。  〔資料提示〕  質問の第1は、知事の3期12年間の総括と今後の決意についてであります。  黒岩知事が神奈川県政に登場したのは平成23年のこと。折しも東日本大震災により、我が国が未曽有の危機に瀕した中で、県知事に就任された経緯がございます。  当時、リーマンショック以来低迷していた我が国の経済は、東日本大震災の影響も加わり、一段と厳しさを増し、本県もその影響を受けて、財政状況が極度に悪化していました。そうした中、黒岩知事は緊急財政対策を打ち出すなど、財政の改革を進め、平成4年度以降、赤字続きであった本県のプライマリーバランスを、平成26年度以降、黒字化することを達成しています。  そのほか、思い起こせば、あの災害廃棄物の受入れ問題、朝鮮学校における教科書問題、令和元年、本県に甚大な被害をもたらした台風19号、そして、あの津久井やまゆり園事件、いまだ危機の中にある新型コロナ対策と、黒岩知事におかれては、折々に持ち上がる諸問題に対して果敢に対処してこられたものと受け止めております。  そして、神奈川が変われば日本が変わるとして進めたヘルスケア、あるいは未病改善などの取組については、いまだ明らかな成果を得るには尚早ではありますが、次のステージで、改めて、忌憚のない議論を行いたいところであります。  そうした中、昨年末、我々自民党は、黒岩知事3期12年の県政を検証した上で、来る神奈川県知事選挙に向けて、あなたを推薦することを決断、4選出馬を要請いたしました。  そこで、本日は改めて、黒岩知事自身、この12年間の県政をどのように捉えているか、そして、次期の県知事選挙に向けて、どのようなお考えでいるのか、この神奈川県議会という公式の場で、お答えいただきたいと思います。  第1の質問は、この1点です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 答弁に入ります前に、一言申し上げます。  去る2月6日、トルコ南部を震源とする大規模な地震が発生しました。同国及び隣国シリア・アラブ共和国において、この地震による死者は、既に4万1,000人を超えていますが、今後さらにその数は増えるとも報じられています。  お亡くなりになられた方々に心より哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。  それでは、長田議員の御質問にお答えしてまいります。  私の3期12年間の総括と今後の決意について、お尋ねがありました。  私は、知事就任以降、いのち輝くマグネット神奈川を旗印に、県民の命を守り、輝かせることを目指して県政運営に取り組んでまいりました。そして、政策の立案、実行に当たっては、徹底した県民目線に立ち、県民の皆様との対話を重視するとともに、外部人材の活用や革新的な技術によって新たなビジネスモデルを発掘し、市場や産業の創出につなげることに注力してきました。  未病の改善と最先端医療技術の追求という二つのアプローチを融合させることにより、健康長寿を目指すヘルスケア・ニューフロンティアこそ、そうした取組を象徴する政策です。  その拠点である川崎市殿町地区には、世界最先端のヘルスケア関連産業が集積し、1,000者を超える未病産業研究会の会員企業による新たな商品・サービスが続々と誕生するなど、様々な成果も生まれています。  また、障害福祉の分野では、障害者の命を守り、輝かせるためには何が必要なのかについて、障害当事者との対話を積み重ね、検討を深めることで、「当事者目線の障害福祉推進条例~ともに生きる社会を目指して~」の制定につなげることができました。  一方、東日本大震災直後に知事に就任して以降、災害廃棄物の受入れや度重なる台風被害、津久井やまゆり園事件など、様々な危機事象に対処してきましたが、そうした中で最も困難を極めたのが新型コロナウイルスとの闘いです。  ダイヤモンド・プリンセス号から始まった、この未知のウイルスとの闘いは、まさに暗中模索の連続でしたが、そうした中にあっても、40を超える神奈川モデルを生み出すなど、全国をリードする様々なコロナ対策を実行することができました。  これまでの県政運営を振り返りますと、様々な政策を実行し、危機事象にも的確に対処できたものと自負していますが、その背景には、県議会の皆様の力強い支えがあったからこそであり、改めて、県議会の皆様の御協力と御尽力に深く感謝申し上げます。  ただ、この3年間、コロナ対策に集中する中で、予定どおりに取り組めなかった政策課題があったことも事実です。と同時に、今後の県政運営を見通しますと、脱炭素や少子化対策などの喫緊の課題に加え、自然災害への対応や道路等のインフラ整備など、県民生活に直結する施策についても積極的に対応していかなければなりません。  国際情勢の緊迫度が増し、経済情勢の先行きも不透明な中、これらの課題に的確に対処していくためには、これまで以上に行政運営の継続性が求められるとともに、デジタル革命ともいうべき事態の進展に対応して、行政の在り方も根本的な変革を迫られています。  こうした状況を踏まえ、これまでの3期12年の経験と蓄積を生かしながら、徹底した県民目線で、いのち輝くマグネット神奈川のさらなる実現を目指していきたい、そして、県政の在り方を県民の皆様、議会の皆様と共に議論していきたい。そうした思いで、次期知事選挙への立候補を決意した次第であります。  答弁は以上です。  〔長田進治議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 長田進治君。  〔長田進治議員登壇〕 ◆長田進治議員 それでは、再質問をさせていただきます。  ただいま知事からは、この12年間の様々な取り組んでこられた政策に対する前向きな総括、それから、あの未曽有のコロナ禍における諸対策、その中での様々な御苦労をにじませての御答弁がありました。  そうした中で、改めて4選出馬に向けた意思が表明をされました。そのことを歓迎したいと思います。  折しも、令和5年度当初予算案が提案されておりますが、4月に選挙が行われることから、この予算案は骨格的なものになると予想されておりましたが、中身を見ますと、少子化対策や脱炭素などの分野で大変意欲的な取組がうかがえ、今後の県政の方向がかいま見えるものであります。  そこで、今後の神奈川県政を見据え、黒岩知事は、どのような政策を打ち立て、県民の理解を得ようとしているのか、その主要な取組について、この場でお示しいただきたいと思います。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、今後の県政を見据えた主要な取組についてお話をさせていただきます。  まず、新型コロナ対策についてですが、感染症法上の位置づけが5類に変更されるのを機に、今後は、コロナとの共存を前提とした持続可能な医療提供体制の構築に取り組んでまいります。  取組に当たっては、コロナ対策として進めてきましたオンライン診療などは、平時においても有効でありますので、こうしたコロナ禍での経験を生かした取組も積極的に取り入れてまいりたいと考えております。  また、当事者目線の障害福祉の実現に向けては、条例の制定はゴールではなくスタートであると申し上げてきたとおり、今後の取組を通じて条例の理念をしっかりと形にしていくことが重要であります。  そのためには、中井やまゆり園が先頭を切って取り組んで、後戻りすることがない改革を進めることで、当事者目線の障害福祉とはこういうものだということを皆様にお示ししていきたい。そして、これが日本の障害福祉の新しいステージだと、そこを目指していきたいと考えております。  さらに、脱炭素の実現や少子化対策は、国家的な大きな課題でもありますので、国の政策との整合も踏まえながら、中長期的な視点で取り組んでいかなければならないと考えております。  これらに加えまして、風水害への対応や摩耗した道路標示の改善など、県民の皆様の命に関わる施策について積極的に取り組むほか、ヘルスケア・ニューフロンティアやコミュニティー再生・活性化など、従来からの重点施策についても継続的に取り組んでいきたいと考えています。  そして、これらの施策を効率的に実現させるため、行政のあらゆる分野にDX─デジタルトランスフォーメーションを取り入れ、様々なデータを有効に利活用していきたい、そのように考えております。  答弁は以上です。  〔長田進治議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 長田進治君。  〔長田進治議員登壇〕 ◆長田進治議員 知事の決意、これは大変大事なことでありますので、再々質問になりますが、重ねて質問させていただきます。  ただいま知事からは、この12年間を前向きに総括され、さらに、これまで進めてきたヘルスケア・ニューフロンティアの取組のほか、今後はDXあるいは共生社会の実現、子育て支援などの取組をしっかり進めていくというお話がございました。  現在、我が国の国民1人当たりのGDPが、世界の国々の中でも27位まで落ち込むなど、経済的に低迷する中で、知事が掲げられるヘルスケアや未病改善など、新たな産業を生み出す取組は、未来の我が国経済の発展を促す意味で大事な取組であると我々も受け止めています。  しかし、その一方で、こうした取組をなぜ一地方自治体である神奈川県が、神奈川県民の血税を注いで行わなければいけないのかといった疑問が、いつも県民の中にあると私は思います。こうした県民の疑問を払拭するには、まずは、県民生活に直結するような、まさにベーシックな行政事務にしっかりと取り組むことが肝要であります。  例えば、県内の道路を見ますと、横断歩道や停止線などの道路標示が消えてしまっている場所を多く見かけます。それこそ、県民の命に関わる大切な交通規制を示すものですが、こうしたことの整備もままならないままに、いのち輝く神奈川ということはあるんだろうか、これが率直な県民の思いであろうというふうに思います。  また、令和元年の台風19号で、本県は激甚な被害を受けました。県民の命を守るためにも、風水害に対応する河川や港湾の強靱化も喫緊の課題です。さらに、県民生活に日々欠かせない県道についても、危険を感じる狭隘な歩道の改善など、県民から多くの要望が寄せられ、対応が急がれます。  そのほかにも、特別支援学校の過大規模化、県立学校の耐震化、県政総合センターや土木事務所、保健所など県民利用施設の老朽化や汚れなど、目につく事例は多くありますが、このような、県民にとって身近で、生活に直結する事業が、厳しい財政状況を理由に、後回しにされてよいはずがありません。  そこで、知事が今後の神奈川県政を推進するに当たって、県民に身近でベーシックな事業にしっかりと取り組み、地に足のついた県政を目指すべきだと思いますが、知事のお考えを伺いたいと思います。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、お答えいたします。  県民生活に身近な事業への取組についてですが、まず近年、激甚化、頻発化している風水害から県民の皆様の命と財産を守るため、水防災戦略を改定し、遊水地や土砂災害防止施設の整備など、被害軽減の取組を加速させるとともに、災害対応力の充実強化に取り組んでまいります。  また、災害時には、トイレの確保が衛生面等から非常に重要でありまして、命にも関わる問題であります。そこで、トイレプロジェクトを掲げ、避難所や防災拠点となる県有施設のトイレ整備、また避難者用携帯トイレの備蓄、こういったものをしっかりと進めてまいりたいと考えております。  さらに、首都直下型地震等が想定される中で、県立教育施設などの老朽化対策、こういったものにも取り組んでまいります。  また、摩耗している道路標示の改善について、議員や市町村長の皆様からも要望を頂いておりまして、これはまさに県民の命に直接関わる重要な施策であると私も思います。そこで、県や市町村といった道路管理者と県警察が連携して、DXの活用により、情報を共有しながら、迅速に対応できるような仕組み、これを構築していきたい、そう考えています。  そしてまた、財政状況に左右されずに、これらの事業に継続的に取り組んでいけるよう、必要な財源を基金に積み立てることとしております。  こうした県民生活に直結する事業を着実に推進することで、県民の皆様が安全・安心に暮らすことができるよう、しっかりと取り組んでいきたい、そのように考えております。  答弁は以上です。  〔長田進治議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 長田進治君。  〔長田進治議員登壇〕 ◆長田進治議員 御答弁ありがとうございました。  御要望を申し上げますけれども、私たち神奈川自民党は、黒岩知事に4選を求めました。私たちは何を理由に4選出馬を求めたか。その一つでありますけれども、引き続くコロナ対策や今後の様々な影響、ウクライナでの戦争によるエネルギー価格の高騰や、県民の生活を脅かす物価高、そして、急激な円安など、まさに我々はこれまでにない危機的な情勢の中で、今こそ、県政における政治の対立、あるいは行政の停滞を招いてはならない、このことを第一に思って、知事に対して4選の出馬を求めたということであります。  また、地に足のついたという視点で質問をいたしましたが、知事が目指すヘルスケア、あるいは未病改善といった先進的な取組に対して、税負担をいただく県民の皆様の理解を得るためにも、道路標示の問題をはじめ、県民の生活に密着した行政事務にしっかりと力を注いでいただきたいというふうに思います。  〔長田進治議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 長田進治君。  〔長田進治議員登壇〕 ◆長田進治議員 第2の質問は、県政の未来に向けた施策についてであります。  〔資料提示〕  まず初めに、県税収入の見込みと当初予算編成の考え方について伺います。  3年にわたり、我が国に大きな影響を及ぼしてきた新型コロナウイルス感染症もようやくその出口が見えようとしています。しかし、その一方で、ロシアによるウクライナ侵略や円安の進行に伴い、消費者物価、あるいは企業物価の上昇が続いており、県民生活や県内経済に大きな影響を及ぼしています。  こうした中、先日の知事提案説明によりますと、令和5年度の税収は、前年度当初予算額を983億円上回るとの説明がありました。  また、令和5年度当初予算は、350億円の財源不足が見込まれる状況にありましたが、その後、4年度の県税・地方譲与税の増収等によって収支を均衡させたと承知しています。つまり、税収全体として、令和4年度、5年度ともに好況であるということになります。  しかし、県内経済は、雇用・所得環境ともに、コロナ禍前の水準まで回復しておらず、また、個人消費も一部に弱めの動きが見られるなど、依然として景気の不透明感が強く、この増収が実体経済を反映したものとは言えそうもありません。したがって、引き続き慎重な姿勢で財政運営に臨んでいかなければならない状況と考えております。  こうした中、令和5年度予算は、県知事選挙を控えて骨格予算になっていますが、引き続く新型コロナ対策や防災対策など、県民生活に直結する施策や、政策の継続性が求められる施策を着実に推進していくことは、大変重要なことと考えています。  そこで、知事に伺います。  令和5年度の県税収入について、実質ベースでは、前年度当初予算額を770億円上回る見通しとなっていますが、どのように見込んだのか、そして、今回の増収について、どのように評価しているのか、お伺いします。  また、こうした税収動向も踏まえ、令和5年度当初予算をどのような考え方で編成したのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、豊かな神奈川づくりに向けた総合計画のあり方について伺います。  我が国経済は、バブル景気の崩壊以後、長い低迷を続けてまいりました。バブル景気の頃は、世界の大企業50社の中に32社を占めていた我が国の企業はことごとく衰退し、30年余りが経過した今、この50社の中にとどまっている日本企業は、トヨタ自動車1社のみとなってしまいました。  今や、日本国民の平均賃金は、先進国、G7の中でも最低の水準で、アメリカの約半分、ドイツの約3分の2、韓国やニュージーランドよりも低いといった状況にあります。  この間、我が国では、企業はもとより、政府や自治体にも、リストラやダウンサイジングなど、縮小均衡のマインドが染み込んでおり、今後も、このような思考のままでは、日本経済は痩せ細り、国民は元気を失っていくばかりではないでしょうか。  現在、政府は、経済の低迷から脱却するため、新しい資本主義を掲げ、一億総株主、資産所得倍増プランを示し、国民の資産を貯蓄から投資に回す仕組みで、我が国経済の構造変革を目指しています。  こうした政府の姿勢を受けて、一部の民間企業では、賃上げに向けた動きが見られるように、行政が積極的に経済の好循環をつくり上げる役割を担う、そうしたことが必要な時代になりました。  こうした視点で県政を見てみると、相変わらず、行政改革による職員数の削減やコストカットという縮小均衡的な感覚から抜け出していないような気がいたします。今こそ、神奈川県が、自らパラダイムシフトと呼べるようなマインドの転換を図り、積極的な姿勢で民間の投資を促し、経済の拡大再生産に結びつけていくことが大切です。  〔資料提示〕  さて、昨年12月の県議会で知事は、かながわグランドデザインの基本構想を見直す方向で検討を進めていくと答弁されました。  この基本構想の見直しに当たっては、新産業を生み出す政策とともに、県民生活に直結した地に足のついた施策にもしっかりと取り組み、県民や県内企業が積極的なマインドを持てるように、豊かな神奈川の将来のあるべき姿をしっかりと描く必要があると考えます。これは、本年度で終了となる第3期実施計画も同様であります。  そこで、知事に伺います。  かながわグランドデザインの点検においては、これまでの政策の基本方向をどのように評価し、今後どのように神奈川の将来像を示す基本構想を描いていくべきと考えているのか、また、具体的な施策を掲げる実施計画の在り方については、どのように考えているのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、感染症法の位置づけの変更など新型コロナウイルス対策の出口に向けた対応について伺います。  新型コロナウイルス感染症については、先月20日、岸田首相が感染症法上の位置づけを現在の2類相当から5類へ引き下げる検討を指示し、翌週の27日、政府の対策本部で5月8日に変更することが決定されました。  このことは、第8波の感染がようやく落ち着いてきたこのタイミングで、コロナ対策の出口に向けて本格的に対策のかじを切るという意思の表れと理解をいたしております。  これは、現在主流となっているオミクロン株の致死率の低さからすれば、妥当な判断であると考えます。県においても、オミクロン株が主流になって以降、重症化しにくい特性に着目し、自主療養制度を導入するなど、積極的に対応してきた経緯があります。  しかし、新型コロナウイルスは、今後も周期的に流行が続いていくことが予想されており、感染症法の位置づけが変わっても、引き続き警戒を怠ることはできません。  また、5類となることにより、感染者は一般の診療所でも受診することができることになるわけですが、受入れ側の医療機関の対応や県民の医療費負担はどうなるのか、また、ワクチンの接種費用が有料となることが予想されることから、県民への接種の勧奨などをどのようにするのかといった問題があります。  県も、こうした点に鑑み、国に対して、移行期間を設けた制度の変更を求めており、5類への移行に伴う混乱が生じないようにすることが大事であります。  これからは、3年にわたるコロナとの闘いの中で得た科学的知見や専門家の議論を踏まえ、コロナ禍の出口に向かって踏み出していくべきと考えます。  そこで、知事に伺います。  新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に変わることで、様々な変化が生じると思いますが、県民生活への影響も踏まえ、県としてどのように対応していくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、全庁コロナ・シフト見直し後の執行体制について伺います。  3年以上にわたった新型コロナ対策も、5類移行によって、感染者数の把握が必要なくなるなど、県行政の負担は大きく軽減されることとなります。また、今後やってくるアフターコロナの時代は、人々の働き方や生活様式を変化させる変革の時代の到来を予想させます。  この3年間、本県では、全庁コロナ・シフトと呼ばれる職員体制を組み、職員の多くがコロナ対策の部門に回り、それ以外の行政事務については、最小限の人員にて、これを担ってきました。今後は、このシフトも解除されるわけですが、これは県の組織体制をより県民に近い体制と組み直す絶好の機会でもあります。  コロナ禍の中で、感染拡大防止の観点から、県においても、テレワークという働き方が急速に進みました。今後は、感染を予防するためのテレワークではなく、仕事を効率化させるためのテレワークを推し進めるべきであります。  例えば、本庁に勤務する県庁職員の多くを、県政総合センターや保健所、土木事務所など、県民にとって身近な出先機関に振り分け、これまで本庁に勤務する職員が行っていた会議や打合せ、あるいは業務報告などをリモートに切り替えるような勤務体制の変更は考えられないでしょうか。  地に足のついた行政といったことを我々は求めておりますが、とかく人手が足りないという理由で停滞している出先機関の業務について、その人員を強化することで、県民への行政サービスの向上が図られるものと思います。  また、そのためにも、昨今、民間の職場で導入されているように、職場に個人のデスクを設置せず、職員は、出先にいても本庁に来ていても、変わらず業務を行えるようなオフィス環境の整備なども必要であります。  さらに言うならば、県政総合センターを本庁のサテライトオフィスとして積極的に活用することで、職員が本庁まで出勤する時間を省き、その分、県民に触れる時間を増やすような取組も進めるべきです。つまり、テレワークは、人と人の生のつながりを希薄にするのではなく、むしろ、県庁職員が県民と触れ合う時間を増やすためのツールとして活用されるべきであります。  そこで、知事に伺います。  県民にとって身近な事業を推進し、コロナ後の新しい時代に即した政策を着実に推進していくため、コロナ・シフトの解除を機に、各所属の執行体制を整備するとともに、職員の効率的な働き方を推し進めていく必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。  〔資料提示〕  次に、脱炭素社会の実現に向けた取組について伺います。  気候変動が原因と思われる自然災害が我が国でも頻発するようになり、脱炭素への対応が喫緊の課題となっております。  また、ロシアによるウクライナ侵略では、世界的なエネルギー価格の高騰を招き、天然ガスの供給が戦争を遂行するためのカードとして使われるなど、安全保障の観点からも、脱炭素の取組が新たな意味合いを持つようになりました。  そうした中、欧米各国では数百兆円規模の投資を表明して、脱炭素社会への移行に向け、取組を加速化し、我が国も、2030年度の温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指し、さらには、50%の高みに向けて挑戦を続けるという目標を掲げ、国家を挙げて対応するという強い意志を示しています。  具体的には、化石エネルギー中心の産業・社会構造をクリーンエネルギー中心の脱炭素型に転換するグリーントランスフォーメーション─GXを進めるため、令和5年度予算案で約5,000億円を計上しているほか、今後10年間で20兆円規模の新たな国債、GX経済移行債を発行するとしております。  これに呼応する形で、知事は、2030年度の温室効果ガスの削減目標を50%に引き上げると表明しました。気候変動問題やエネルギー情勢を踏まえると、県としても、脱炭素に取り組む意気込みは理解できます。  〔資料提示〕  そこで、今定例会で提案された県の予算案を見ると、脱炭素関係として、令和4年度2月補正予算案で、135億円を基金に積み立て、令和5年度当初予算案では、事業費が約62億円計上されております。  しかし、自治体単位で具体的にどうやって脱炭素を進めるのかとなると、なかなか決め手となるような政策を見いだすのは難しく、これまで、かながわスマートエネルギー計画で、太陽光発電など再エネの導入促進に取り組んできましたが、分散型電源の導入目標は計画どおりに進んではいません。  そうした中で、県が新たに掲げた2030年度50%削減はとても高い目標であり、この目標を達成するためには、やはり節電などの取組で県民の協力は不可欠であります。したがって、県税を投入することも含め、県民の理解を得ながら、より実効性ある取組を推進する必要があります。  そこで、知事に伺います。  2050年脱炭素社会の実現に向けて、2030年度の温室効果ガス排出量50%削減を目指して、県の役割を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、本県が目指すデジタルトランスフォーメーション(DX)の方向性について伺います。  新型コロナウイルス感染症への対応では、感染者数の把握において、紙ベースの情報収集が行われ、迅速な状況把握が困難であったことのほか、集計の間違いなども頻発いたしました。こうしたことで、我が国の行政サービスにおけるデジタル化は、国民の想像以上に遅れていることが明らかになりました。  こうした状況を改善するため、国は、デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針を策定しております。  このビジョンを実現するためには、住民に身近な行政を担う自治体の役割は極めて重要であることから、これと同時に策定された自治体DX推進計画では、自治体が担う行政サービスの電子申請やキャッシュレス決済の推進など、住民の利便性を向上させること、そして同時に、行政事務の効率化を図り、人的資源を行政サービスの向上につなげていくことが求められております。  過日、不動産業界の方たちのお話を伺うことがありました。この業界では、不動産取引の仲介をする際、その不動産周辺の浸水被害想定など災害リスクについて、市町村がウェブ上に公表している情報を基に重要事項の説明を行っているそうですが、そうした情報にも市町村によってばらつきがあり、説明に苦慮することもあるということでありました。  本県においては、かながわICT・データ利活用推進計画と具体的な戦略を策定して取組を進めてきました。しかし、この計画と戦略は、本年度が最終年度に当たることから、これまでの取組結果を個別に点検・検証して、さらに進化してほしいものであります。  さて、そうした中、国は、地方自治体のデジタル化を支援するため、都道府県等における市町村支援のためのデジタル人材の確保について、新たな財政支援を講ずることとしました。県と同様に、市町村においてもデジタル化は急務となっていますが、県は広域自治体として市町村を支援し、連携して県全体でDXを推進していく必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  現行の計画と戦略の総括も踏まえ、県が目指すDXの方向性をどのように考えているのか、また、戦略にも位置づけている市町村支援・連携について、どのように考えているのか、併せて見解をお伺いいたします。  〔資料提示〕  次に、子ども・子育て施策の充実について伺います。  厚生労働省が昨年12月に公表した人口動態統計によると、昨年1年を通した我が国における子供の出生数は、統計を取り始めた1899年以降、初めて80万人を割る見通しとなっております。  本県の出生数も同様に減少傾向が続き、40年前には年間9万4,000人余りの子供が生まれていたのに対し、今では5万8,000人余りに減少し、少子化は我々の想定を上回るペースで進行しております。  国は、1月4日の岸田総理大臣の年頭会見において、異次元の少子化対策を重点政策として掲げ、通常国会での施政方針演説でも、我が国は社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際と呼ぶべき状況に置かれていると危機感をあらわにし、子育て支援を最重要課題と位置づけました。  1月19日には、こども政策の強化に関する関係府省会議の初会合を開き、1、児童手当を中心とした経済的支援の強化、2、放課後児童クラブや病児保育を含めた幼児教育や保育サービスの量・質両面からの強化、3、働き方改革とそれを支える制度の充実を具体策とし、3月末をめどにたたき台を取りまとめ、将来の予算倍増に向けて6月までに大枠を提示する方針であります。  こうした国の動向に対し、本県も、新年度から小児医療費助成の対象年齢を引き上げるほか、今定例会に子ども・子育て基金を造成する条例案を提案するなど、新たな子ども・子育て施策に取り組もうとしていることは承知しております。  子育て世代の皆さんが感じている、育児に対する身体的・経済的負担や、仕事との両立といった課題を改善し、子供を安心して産み育てられる環境をつくるため、本県も、国が子育て支援に力を入れたこの機を逃さず、神奈川ならではの大胆な子ども・子育て施策を打ち出していくことが大事であります。  そこで、知事に伺います。  少子化が進行し、国が次元の異なる少子化対策を進める中、県として、どのように子ども・子育て施策の充実を図っていこうとしているのか、知事の見解をお伺いいたします。  第2の質問は以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕
    ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 県政の未来に向けた施策について、何点かお尋ねがありました。  まず、県税収入の見込みと当初予算編成の考え方についてです。  初めに、令和5年度の県税収入ですが、個人消費の持ち直しや、原材料高、為替変動に伴う輸入額の増により、地方消費税で430億円の増収が見込まれます。  また、5年3月期の企業収益が、コロナの影響が和らぐことで、非製造業が牽引し、増益予想となっていることから、法人二税で270億円、特別法人事業譲与税で150億円、それぞれ増収が見込まれます。  こうした県税等の増収から、税交付金等を差し引いた実質ベースの税収は、4年度当初予算額を770億円上回る1兆1,904億円を見込んでいます。  今回の増収は、コロナ禍からの反動増や、ウクライナ侵攻を発端とする原材料高、歴史的な円安という特殊要因によるものであり、今後もこうした増収が継続するか否かは不透明なものと認識しています。  次に、当初予算編成の考え方についてです。  令和5年度は、義務的経費を中心とした骨格予算として編成しましたが、持続可能な神奈川の推進に向けて、喫緊の課題への対応や県民生活に直結する事業などを重点的に進めることとしました。  具体的には、コロナとの共存を前提とした感染症対策を進めるとともに、脱炭素社会の実現や人口減少社会における次世代育成、当事者目線の障害福祉の実現に取り組みます。  さらに、県民生活に直結する事業として、水防災戦略による災害対策や、教育施設を含む県有施設の老朽化対策等も着実に進めます。  また、これらの重点的な施策のうち、脱炭素や次世代育成、県有施設の老朽化対策に対しては、令和4年度の税収増を活用し、中長期的な視点から必要な財源を基金に積み立てて、継続的に取り組んでまいります。  このように、令和5年度当初予算は、喫緊の課題への対応と、中長期的な視点に立った財源確保を両立させた予算編成ができたものと考えています。  次に、豊かな神奈川づくりに向けた総合計画のあり方についてです。  本年度進めてきた基本構想の点検においては、総合計画審議会からも、誰もが元気で長生きできる神奈川づくりをはじめとした政策や取組の方向性については妥当であったと評価を頂いており、いのち輝くマグネット神奈川の実現に向けた様々な取組の方向性は適切であったと考えています。  一方で、人口減少社会の到来など、本県を取り巻く社会環境は大きく変化していることから、改めて神奈川の将来像を描き、政策の全体像を示すため、来年度、基本構想の見直しに着手します。  見直しに当たっては、新興感染症や国際情勢の不安定化など、将来の不確実性が高まる中、想定し得ない事態が生じても、その影響を最小限に抑えるため、今から何をすべきかという視点が必要です。  また、経済界においても、長期デフレマインドからの転換といった声が上がる中で、本県としても、従来の考え方にとらわれず、経済や社会を好循環に導くような大胆な発想で将来像を描くことも重要であると考えています。  そして、実施計画についても、基本構想の改定と合わせてスタートするのが望ましいと考えており、来年度、策定作業に着手します。  県民生活に直結し、着実に進めるべき事業にしっかりと対応するとともに、新たな経済的、社会的価値を生み出す民間投資を促進させるような施策にも注力していく必要があると考えています。  グランドデザインの点検で明らかになった課題に対応するとともに、長期的なビジョンを県民と共に描いていくために、総合計画審議会や県議会での議論はもとより、県民、企業、各団体の皆様と丁寧に対話をしながら、新しい総合計画をつくり上げてまいります。  次に、感染症法の位置づけの変更など新型コロナウイルス対策の出口に向けた対応についてです。  県では、オミクロン株の特性を踏まえて、感染症法上の位置づけを見直すよう、かねてより国に対し求めてきました。そして、国は5月8日から新型コロナウイルス感染症の類型を5類に見直すことを発表しました。  国が見直しに当たり、3か月の準備期間と必要な経過措置を設けると表明したことは、急な変更による混乱を招かないよう求めた県の要望を反映したものであり、評価しています。  しかし、この3年間、新型コロナへの特別な対応が日常となっていた県民の皆様にとっては、制度変更への不安もあると思います。  そこで、県では、これまで以上に、身近な医療機関での受診を可能とするため、院内で取るべき感染症対策について、正確な情報を医療機関に提供し、積極的な患者の受入れをお願いしていきます。  また、特に、県民生活に影響の大きい高額な入院費や治療薬などの医療費の負担に対して、国からの支援が継続されるよう求めていきます。  さらに、ワクチンについても、これまでと同様に積極的な接種の検討をお願いしたいため、接種控えにつながらないよう、当面、現在の自己負担のない接種体制の継続を国に求めています。  こうしたことにより、県民生活への影響を最小限に抑えた上で、感染症法上の類型見直しによるウィズコロナの新たなステップを踏み出してまいります。  次に、全庁コロナ・シフト見直し後の執行体制についてです。  本県ではこの3年間、全庁コロナ・シフトの考え方の下、多くの応援職員を動員して対応してきましたが、今後、感染症法上の位置づけが5類に変更されることに伴い、改めて各所属の執行体制を整える必要があります。  そこで、今後、感染状況を見極めながら全庁コロナ・シフトを解除し、県民に接する機会が多い出先機関を中心に応援職員を戻すことで、執行体制の回復を進めます。  あわせて、税務などの専門性の高い分野でベテラン職員を専門的職務指導員に指定し、培ってきた知識や経験を後輩職員に継承するなど、職員のスキル向上にも積極的に取り組みます。  また、限られた人員で効率的に仕事を進めるためには、多様な働き方の推進とコミュニケーションの活性化が欠かせません。本県では、職員に配備しているパソコンは全てモバイル対応が完了し、執務場所にとらわれずに働くことが可能となっていますので、執行体制の安定に伴い、リモートワークも一層拡大したいと考えています。  加えて、コミュニケーションの活性化や業務の効率化を図るため、座席を固定しないフリーアドレスの職場の拡大や老朽化して使いにくい備品の刷新など、オフィス環境の改善にも取り組みたいと考えています。  このように、各所属の体制を整備し、職員が働きやすい環境を整えることにより、県民に身近な事業はもとより、新しい時代に即した政策をしっかりと前進させてまいります。  次に、脱炭素社会の実現に向けた取組についてです。  県は、脱炭素社会の実現に向けて、2030年度の温室効果ガスの中期削減目標を46%から50%に引き上げました。この極めて高い目標を達成させるためには、あらゆる主体が脱炭素を自分事化し、オールジャパン、オール神奈川で取組を広げていくことが必要です。  そこで、県の役割として、県民や企業の皆様など各主体の取組の後押しや、県庁の率先実行に取り組みます。  具体的には、脱炭素の自分事化に向けた普及啓発など機運の醸成を図るとともに、中小企業等の省エネ設備や再エネ設備の導入、住宅の省エネ改修等を重点的に支援したいと考えています。  また、県自らも率先して、県有施設への太陽光発電の設置や公用車の電動車化などを加速させることで、企業や市町村の取組を促すとともに、大規模排出事業者としての責任を果たしていきます。  加えて、こうした取組を継続的に実施できるよう、必要な資金を気候変動対策基金に積み立てたいと考えています。  県としては、県民の皆様の御理解を頂きながら、各主体の取組をしっかりと後押しし、オール神奈川で総力を挙げて、脱炭素社会の実現を目指してまいります。  次に、本県が目指すDXの方向性についてです。  令和3年に策定したかながわICT・データ利活用推進戦略では、本県のDXの方向性として、デジタルを活用し、人々に温かさや優しさを伝えられるサービスの体験、体感「デジタル・エクスペリエンス」が重要であるとしています。  そして、例えば、新型コロナ対策パーソナルサポートや神奈川県療養サポートなどのように、徹底した県民目線でサービスを企画、導入し、県民一人一人に寄り添った取組を進めてきました。  今般行ったかながわICT・データ利活用推進計画等の総括においても、引き続き、この戦略の方向性の下、取組を進めていく必要があると確認したところです。  次に、市町村支援・連携についてです。  県はこれまで、市町村と共同で利用する電子申請システムや情報セキュリティークラウドなどを、県が主体となって導入、運用し、市町村の人的及び財政的負担の軽減を図ってきました。  また、DX推進に不可欠な幅広いデータの利活用を進めるため、市町村と連携したデータ統合連携基盤の取組や、各市町村のオープンデータの取組状況に応じた研修や相談などの支援も実施しています。  今回、国から示された市町村へのデジタル人材確保の新たな支援策を含め、引き続き、広域自治体として、市町村ニーズを丁寧に把握しながら、市町村の支援・連携を進めていく必要があると考えています。  今後も、徹底した県民目線を重視した本県のDXの方向性をしっかりと見据え、市町村とも連携を図りながら、県全体のDXを推進してまいります。  次に、子ども・子育て施策の充実についてです。  子ども・子育て施策において重要なことは、希望する人が希望する人数の子供を持ち、子供が健やかに成長できる社会を実現することだと認識しています。このため、令和5年度当初予算案には、小児医療費助成について、通院した際の補助対象年齢を6歳までから12歳までに引き上げる充実策や、子ども食堂への支援などを盛り込んだところです。  国も、次元の異なる少子化対策として、3月末を目途にたたき台を取りまとめ、6月の骨太の方針までに大枠を提示するとしています。  県は、こうした動きに迅速に対応するとともに、子供施策の充実に向けた取組を中長期的な視点に立って進めるために、今定例会に、神奈川県子ども・子育て基金を設置するための条例案を提案し、80億円の基金積立金を予算案に計上しています。  基金を活用した具体的な子供施策については、国の動向を注視しつつ、市町村とも調整しながら、実効性のある施策を練り上げていきたいと考えています。  また、現在、私自身が子育て世代の県職員と直接、意見交換を行っており、この中でも当事者の切実な声を受け止め、保護者の負担軽減など効果的な施策を検討していきたいと考えています。  県は、子ども・子育て施策を充実させ、全ての子供が幸福で健やかに成長でき、県民が安心して子供を産み育てることができる社会の実現に努めてまいります。  答弁は以上です。  〔長田進治議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 長田進治君。  〔長田進治議員登壇〕 ◆長田進治議員 大変ボリュームのある御答弁を頂きまして、ありがとうございました。  それでは、再質問を一ついたします。  新型コロナウイルス感染症対策の出口に向けた対応についてであります。  これまで飲食店に対して、マスク飲食やシールド、サーキュレーターの設置などを求めてきたマスク飲食実施店認証制度についてでありますけれども、これは5類移行後、神奈川県として、どのようにされるのでありましょうか。見回りまでして取り組んだ事業でありますから、早急に方針を定めて、次に向かっていくべきだと思いますけれども、この点いかがでしょうか。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、お答えいたします。  本県のマスク飲食実施店認証制度、これは国の第三者認証制度として実施しておりまして、5類へ移行後の取扱いについては、国の方針を踏まえ、判断することになります。  5類への移行により、第三者認証制度は廃止されることが見込まれますが、移行後は、コロナとの共存を前提に、日常生活や事業活動を営む中で、持続可能な形で感染防止対策に取り組んでいただくことが重要です。  そこで、今後は、行政がお墨つきを与えるというやり方ではなく、県民や事業者の皆さんが主体的に感染防止対策に取り組んでいただけるよう、また、これを促すこととしまして、飲食店等に対する丁寧な説明に努めていきたいと考えております。  答弁は以上です。  〔長田進治議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 長田進治君。  〔長田進治議員登壇〕 ◆長田進治議員 ありがとうございました。  では、要望を申し上げます。  新型コロナウイルスの出口対策でありますけれども、医療体制が逼迫しないように、きちっと留意をしながら、コロナ禍の出口に向かって、勇気を持って進んでいくことが大事だというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  また、全庁コロナ・シフトが解除されることについて。  リモートを活用した働き方の進んだ民間企業では、社員が仕事の終わりに会社に帰ることをやめて、リモートで出先から業務報告を済ませるようにし、その分、顧客に接する時間を増やすような取組を進めているというふうに聞きます。この機会に、ぜひ、県庁職員がより多くの時間を県民や市町村行政などと接する時間を増やせるような改善を行ってほしいと思います。  子ども・子育て施策についてでありますけれども、大事なことは、この施策が子供の出生率を向上させる、そうした結果を出すことであります。どうすれば、それが実現するのか、県民の思いに寄り添った施策につなげるよう要望いたしたいと思います。  〔長田進治議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 長田進治君。  〔長田進治議員登壇〕 ◆長田進治議員 第3の質問は、県民生活に直結した取組についてであります。  〔資料提示〕  まず初めに、神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例の基本計画の策定について伺います。  昨年11月の本会議において知事は、我が会派の代表質問に対し、条例を県民へ周知・啓発することのほか、重度障害者を受け入れることができるグループホームなどの地域資源、相談体制の充実、人材の確保などの取組について検討し、来年度策定する条例の基本計画にしっかりと盛り込むと答弁されました。  一方、去る11月22日、津久井やまゆり園を会場にして行った共生社会推進特別委員会では、来場された聴覚に障害のある方から、手話などのコミュニケーションが取れる高齢者施設がなく、聴覚に障害のある高齢者は、周囲の人に意思が伝えられず、孤立せざるを得ないという悲痛な声が寄せられました。  当事者目線の障害福祉については、言うまでもなく、知的、身体、精神など全ての障害を対象としており、本人が望む生活の実現に向けて、様々なニーズに対応した取組をしっかりと進められる計画とする必要があります。  例えば、聴覚障害者や視覚障害者への支援では、昨年5月に施行された障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の趣旨を踏まえ、必要な情報取得や意思疎通が円滑に行えるよう、音声ガイドや手話など、障害に応じた様々なコミュニケーション手段を充実させることが必要と考えます。  また、精神障害者への支援について、国は昨年6月、地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会で取りまとめたとおり、保健、医療、障害福祉、介護、居住、就労等の様々なサービスを身近な地域で切れ目なく受けられるようにすることが必要であり、医療と連携した福祉的アプローチの強化が求められています。  この計画の策定に当たっては、様々な障害当事者をはじめ、多くの県民の方々から幅広く意見を伺いながら進めることが重要であることは言うまでもありません。  そこで、知事に伺います。  「神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例~ともに生きる社会を目指して~」の基本計画を、どのように策定していこうと考えているのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、中井やまゆり園の再生に向けた取組について伺います。  知的障害者を対象とする県直営の障害者支援施設である中井やまゆり園は、民間施設の人的体制や設備では受入れの難しい利用者を積極的に受け入れるなど、強度行動障害のある方に御利用いただく中核施設として、これまで一定の役割を果たしてきたものと考えております。  しかしながら、昨年9月、外部調査委員会から25件の虐待が疑われる事案とともに、人権意識の大きな欠如やマネジメント機能の喪失といった大変厳しい指摘がなされました。  津久井やまゆり園事件の後、私たちは、深い悲しみと反省の中で、ともに生きる社会かながわ憲章を策定し、共生社会の実現を誓い合いました。そうした一連の出来事のさなかに、神奈川県の直営施設で虐待とされる事案が日常的に起きていたということは、全く信じられない思いであり、誠に残念でなりません。  今後、中井やまゆり園を再生させるには、職員の意識を変えることが最も重要と考えています。私もかつて知的障害者施設で働いていたことがありますが、職員は誰しもが利用者の生活をよくしたい、笑顔を見たいと思っているはずです。しかし、支援が困難で解決策が見いだせないケースもあり、多忙な業務の中で身体拘束などの安易な手段に頼るようになり、やがてそうした状況に慣れてしまう。閉鎖的な施設の中で、こうしたことになりがちでありますが、そうしたことがあってはなりません。  〔資料提示〕  中井やまゆり園の再生について、県は本庁幹部職員を園に常駐させ、さらに民間の支援改善アドバイザーを配置して再生に取り組んでいますが、そうした取組の結果、最近では、日中活動の充実によって利用者に笑顔が見られるようになるなど変化が表れ、現場の職員も意欲が高まり、改善の兆しが見えているということであります。  県民の命のセーフティーネットである県の直営施設、中井やまゆり園で働く以上、県職員には、どんなに支援の難しいケースに向き合おうとも、職員同士、力を合わせ、一人一人の利用者の望む暮らしの実現に向けて、ひるまず、妥協せず、神奈川県公務員としての信念とプライドを持って取り組んでほしいと願っておりますし、また、それはきっとできると信じております。  そこで、知事に伺います。  約1年に及ぶ、支援改善アドバイザーによる当事者目線の支援の実践指導をはじめとした取組を行っている中井やまゆり園の現状をどのように受け止めているのか、また、今後どのように改革を進めていくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、急傾斜地崩壊対策について伺います。  昨年12月31日、大みそかの未明、地震があったわけでもない、直前に大雨が降ったわけでもない山形県において、突然の大規模な土砂崩れが発生し、2名の方が亡くなりました。土砂災害はいつ起きるか分からないということを、改めて感じたところであります。  本県においては、県東部の地域を中心に、都市部の人口が集中するエリアに崖地が多く存在し、崖崩れも多発しており、地域住民の安全を確保するための対策工事を行っていくことは非常に重要であります。  特に、国の補助事業の採択要件に満たない、高さが10メートル未満などの崖地の対策については、県単独事業により対応していますが、要望を受けてから実際に工事が完了するまでには長い期間を要しており、その間、住民の方々は、いつ起きるかもしれない崖崩れに不安を抱えながら過ごしている状況にあります。  そのため、我が会派としても、県に対して、急傾斜地崩壊対策の拡充を再三にわたって訴え、その結果、令和4年度から県単独事業の予算を大幅に増額し、令和10年度まで継続的に予算を確保するなど、対策を加速させて取り組んでいることは評価いたしております。  今後は、土砂災害警戒区域に指定されながらも、店舗や住宅、医療・福祉施設などが多く存在している地域について重点的に整備を進めていくことが大事であり、国の補助事業の対象とならない高さ10メートル未満の崖であっても、国の予算が充てられるようにすることが必要です。  これについて我々は、知事と共に、国に対して補助事業の要件を緩和するよう要望活動を行いました。その結果、令和5年度政府予算案において、補助事業の採択要件の緩和が盛り込まれたことは、大変大きな成果であると思います。  そこで、知事に伺います。  この採択要件の緩和を生かし、急傾斜地崩壊対策事業をより一層推進していくため、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、特殊詐欺対策の更なる強化について伺います。  県内の特殊詐欺被害については、令和2年、令和3年と2年連続で認知件数、被害額ともに大幅に減少しましたが、令和4年の被害については、認知件数、被害額ともに大幅に増加したと承知しております。  また、令和4年に検挙された特殊詐欺の犯人のうち、少年が全体の3割を占め、中には中学生も含まれているということであり、悪質極まりない犯罪に少年までも加担させる実態を危惧しているところであります。  さらに、昨今報道されている連続強盗事件においても、特殊詐欺との関連性が報道されており、同様に、SNS等で知り合った初見の者同士が一時的に犯罪組織を構成し、凶悪事件を引き起こしている点も憂慮すべき傾向だと考えます。  そうした中、県警察では、この数年、特殊詐欺対策を重要課題と位置づけた上、民間の協力も得ながら、総力を挙げて対策に取り組んでおり、その結果、検挙人員や、民間との連携のたまものと言える阻止件数が過去最多となるなど、対策の成果が表れていることは評価いたしております。  しかしながら、冒頭に申し上げたとおり、当県における令和4年の特殊詐欺被害は増加に転じ、還付金詐欺にあっては、被害者の半数以上が60歳以下の方であるとのこと。これまで高齢者が主体であった特殊詐欺の被害は、幅広い世代に広がりを見せています。  特殊詐欺を撲滅し、誰もが安心して暮らせる社会を実現することは県民の切なる願いであり、これを実現していくためには、県警察だけでなく、自治体や事業者、地域住民などが連携した取組を推進していくことが重要であります。  そこで、県警本部長に伺います。  県警察では、特殊詐欺の被害状況等をどのように分析し、今後どのような対策に取り組んでいくのか、見解を伺います。  第3の質問は以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 県民生活に直結した取組について、何点かお尋ねがありました。  まず、神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例の基本計画の策定についてです。  当事者目線の障害福祉という条例の理念を具現化するため、基本計画には、県民の皆様の理解促進や重度障害者の地域生活移行、人材の確保といった施策をしっかりと位置づけていくことが必要です。  令和5年度当初予算案においても、条例の理念に基づき、あらゆる世代が障害者と一緒に活動する機会の提供、重度障害者のグループホーム等の充実、支援現場を支える人材の確保といった事業を計上しています。  また、視覚・聴覚障害者などが地域で円滑に意思疎通できるよう、障害に応じたコミュニケーション手段を市町村や事業者に紹介したり、精神障害者の病院からの地域生活移行などを保健福祉関係者や当事者と協議しながら進めるなど、幅広い取組を行います。  計画には、こうした福祉施策はもとより、医療、雇用、教育、住宅、バリアフリー、さらには、文化芸術、スポーツなど、当事者目線の障害福祉の推進に関するあらゆる分野の施策を位置づけていきます。  また、計画の策定に当たっては、様々な障害の当事者としっかりと意見交換を行うとともに、障害者の家族、市町村、事業者、関係団体などから広く意見を伺っていきます。  さらに、障害者に関する施策を体系的に分かりやすく示すため、これまでのかながわ障がい者計画と神奈川県障がい福祉計画を、令和6年度からスタートする条例の基本計画に包含し、一本化します。  県は、当事者目線に立って実効性のある計画を策定し、条例の理念の具現化を図ることにより、全ての障害者が安心して生き生きと暮らすことのできる地域共生社会の実現を目指してまいります。  次に、中井やまゆり園の再生に向けた取組についてです。  まず、中井やまゆり園の現状の受け止めについてです。  私は、県立直営の中井やまゆり園こそが、先頭を切って当事者目線の障害福祉を具現化していく必要があると考えています。  現在、園では、民間の支援改善アドバイザーの力を借りながら、日中活動の充実や地域生活移行の取組を進め、利用者の生活は変わりつつあります。  中でも、以前、私が園を訪れた際に、何にもない居室に終日閉じ込められて床に無表情で横たわっていた利用者が、今では、他の利用者の車椅子を押して日中活動に参加し、笑顔を見せている姿が強く印象に残っています。また、利用者の可能性に気づいた職員も積極的に関わりを増やすなど、変化の兆しが見えています。  一方で、アドバイザーからは、私たちの指摘に対応するだけではなく、職員が自発的に行動を起こせるようにならないと、この改革は継続しないと指摘されています。そのため、この改革が持続可能となるよう、当事者目線の障害福祉の理念をしっかり理解した人材の育成や体制整備に取り組まなければいけないと受け止めています。  次に、今後の改革の進め方についてです。  利用者の豊かな暮らしの実現には、住民や事業者など、地域と交流を深めていく必要があります。そこで、昨年から、秦野駅前に設置した拠点で日中活動を始め、令和5年度からは宿泊体験にも取り組むなど、地域との交流を本格化させていきます。  また、現在、アドバイザー等の外部有識者に園の改革プログラムを取りまとめていただいており、これを利用者の豊かな暮らしを実現させるための指針として、園と本庁が一体となって改革を進めていきます。  条例の目指す当事者目線の障害福祉を生まれ変わった中井やまゆり園が実践し、地域共生社会の実現に向けて全力で取り組んでまいります。  次に、急傾斜地崩壊対策についてです。  本県は、宅地付近に多くの崖地があることから、擁壁等を整備して災害から県民の命を守る急傾斜地崩壊対策事業は大変重要であります。  県は、地域からの要望があるものの、高さ10メートル以上の崖に対し補助するという国の採択基準を満たさない箇所について、県単独事業の予算を基金に積み立てるなど、重点的に措置し、整備を加速させてきました。  こうした中、駅周辺などの居住に適した地区にある10メートル未満の崖でも災害が多く発生しており、対策をより一層推進してほしいという強い要望を改めて頂きました。  そこで、昨年11月、私自ら、財務省と国土交通省に対して、崖の高さの要件緩和を要望しました。  その結果、国の来年度予算案において、市町村がまちづくりの計画、いわゆる立地適正化計画の中で、積極的に住民に住んでいただこうとする箇所については、崖の高さの要件を10メートルから5メートルまで引き下げることが盛り込まれました。この要件緩和を活用し、令和5年度には、早速、駅周辺などの13か所で施設整備に取り組んでいきたいと考えています。  一方、この要件緩和をより一層活用するためには、立地適正化計画がまだ定まっていない市町村に対し、早期の策定を促していく必要があります。  そこで、都市計画の第8回線引き見直しにおける市町村との意見交換の場などを活用し、まちづくりのお考えを伺い、どの地区で、この要件緩和の活用が可能か助言するなど、早期の計画策定を支援します。  今後も県は、市町村と十分に連携した上で、急傾斜地崩壊対策をしっかりと進めてまいります。  私からの答弁は以上です。  〔警察本部長(林  学)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 林警察本部長。 ◎警察本部長(林学) 特殊詐欺対策の更なる強化についてお答えいたします。  令和4年の県内における特殊詐欺被害状況は、暫定値ではありますが、認知件数は2,089件、被害額は約43億4,700万円であり、令和3年と比較して、認知件数は約43%の増加、被害額は約68%の増加と、いずれも大幅に増加しました。  これを手口別に見ますと、オレオレ詐欺と還付金詐欺の増加が顕著であり、オレオレ詐欺は828件、還付金詐欺は745件で、前年に比べて、それぞれ約78%、約134%増加しており、この二つの手口で、特殊詐欺全体の約75%を占めています。  一方、検挙状況につきましては、増加した手口に重点を置いた検挙対策を強力に推進した結果、検挙人員は過去最多の243人であり、そのうち、少年の検挙人員については過去最多の77人を検挙しました。  県警察としましては、引き続き、現場検挙を徹底するとともに、特殊詐欺に関与する暴力団やその他の犯罪者グループ等に対して、重点的かつ優先的に捜査力を投入して、その中枢や資金源に切り込み、実質的な打撃を与える取組を強力に推進してまいります。  また、少年を特殊詐欺に加担させないための啓発活動として、中学校や高校における非行防止教室等を開催するとともに、啓発動画やSNSを活用した情報発信と注意喚起を推進してまいります。  次に、被害防止対策としましては、引き続き、犯人と被害者が電話でやり取りした音声を高齢者等に聞いていただく取組のほか、留守番電話の常時設定の呼びかけや迷惑電話防止機能つき電話機の普及促進に加え、子や孫等の幅広い世代の方々に対する広報啓発活動を推進してまいります。  また、金融機関やコンビニエンスストア等に対して、職員や店員の方々による積極的な声かけを依頼するとともに、還付金詐欺被害の半数以上を占める60歳代以下の世代を対象とする被害防止対策について、連携して取り組んでまいります。  今後とも、特殊詐欺対策については、県警察の最重要課題の一つと位置づけ、実行犯の検挙にとどまることなく、特殊詐欺に関与する犯罪組織の壊滅に向けた多角的な検挙対策を推進するとともに、自治体や金融機関等と緊密に連携し、官民一体となった効果的な被害防止対策を推進してまいります。  以上でございます。  〔長田進治議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 長田進治君。  〔長田進治議員登壇〕 ◆長田進治議員 知事並びに警察本部長、御答弁、大変ありがとうございました。  1点、再質問をさせていただきます。  神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例の計画の策定でございます。  全ての障害に対応する計画にするという旨の答弁がありましたけれども、とりわけ精神障害については、医療の現場における薬漬けといった批判もあり、また、強制入院や身体拘束が行われるケースも多く、日本の精神科医療は、国連の障害者権利委員会から強制入院をやめるよう勧告を受けているという実情もあります。  そうした中で、近年、オープンダイアローグといったカウンセリング的なアプローチが欧米で行われるようになり、成果を上げていると聞いています。こうした在り方を行政としても進めることが有効だと思いますが、見解を伺います。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、お答えいたします。  今、御指摘のオープンダイアローグというのは、精神障害のある方に問題点を指摘したり、診断をするのではなくて、対話を続けることにより、症状の改善や回復を目指す手法と聞いております。  この手法は、当事者を中心として、医師や看護師などの医療スタッフや生活支援者などがチームとして取り組むものです。私自身も障害当事者の皆さんと対話を重ねてきましたが、直接話をするということの重要性は痛感をしているところです。  そこで、精神医療に限らず、様々な障害福祉分野でも活用することができるのではないかと思いますので、しっかりと研究していきたいと考えております。  答弁は以上です。  〔長田進治議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 長田進治君。  〔長田進治議員登壇〕 ◆長田進治議員 答弁、大変ありがとうございました。  それでは、要望を申し上げたいというふうに思います。  当事者目線の障害福祉推進条例の基本計画についてですけれども、全ての障害当事者を対象に、その目線に応じた障害サービスや施設を充実させていこうとしたら、それはとても一朝一夕に実現するものではありません。やはり、現実には、目の前にある課題に一つ一つ取り組み、その際に、行政側の目線や介助する側の目線よりも、当事者の目線に立つように、しっかりと心がけるということが大事だということだというふうに私は思っております。  ただ、1点、精神障害のことについて再質問をいたしましたけれども、3障害の中でも当事者の多い分野であり、他国との比較でも、我が国の精神医療や福祉は立ち後れが大きいと感じています。  知事は、まずは知的障害のある方の意思決定支援、これを充実させていこうというふうにお考えだろうというふうに思いますけれども、精神障害についての取組もまた重要でありますので、このことについては、改めて計画に反映するようお願いいたします。  それから、中井やまゆり園の再生については、神奈川県直営の施設でありますから、民間の施設も含めて、他の施設のお手本となる施設であるべきだと、これが県民の感覚であるというふうに思います。少しずつよくなりつつあるというこれまでの変化であるとか、県内でも先進的な取組を行っている施設の様子を見ると、日中活動の充実というのが重要な要素のようであります。  障害の有無にかかわらず、人は働き、誰かの役に立てているという実感こそが生きる喜びにつながるのだと改めて感じさせていただいております。  日中活動の場の確保ということになりますと、施設単体の努力では、なかなかその場の確保というのは難しいだろうというふうに思いますので、ぜひ、県の全体での強力なバックアップをお願いいたしたいというふうに思います。  〔長田進治議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 長田進治君。  〔長田進治議員登壇〕 ◆長田進治議員 第4の質問は、本県の活力を生む施策についてであります。  〔資料提示〕  まず初めに、ヘルスケア・ニューフロンティア政策を進める意義について伺います。  知事が進めるヘルスケア・ニューフロンティア政策は、健康医療政策と産業政策の二つの側面を併せ持つものと承知しています。  知事は、この政策について、超高齢社会を乗り越えるための革新的な技術や新たなビジネスモデルを育て、県民の健康寿命の延伸につなげるとしており、我々も折々に意見を申し上げつつも、賛同いたしてまいりました。  しかし、これまでの知事との議論を振り返ると、健康医療政策として、これを捉えた場合、健康寿命の延伸といった面で、その成果や効果について相関性を今のところは得ることは難しく、県民からの理解や納得感を得るにはまだ至っていないと感じています。  一方、産業政策として捉えた場合には、川崎市殿町地区や、藤沢市及び鎌倉市に位置する湘南アイパークなどにおいて、一定の産業集積の進展が見られ、本県の経済のエンジンとして、将来の成長を担う一翼となり得るのではないかと期待もするところであります。  また、政府が新しい資本主義を推進していく中で重要としているのは、将来の基幹産業になり得る重要な技術や産業を育成し、持続可能な経済循環を生み出すモデルの構築であり、こうした政策との整合性は取れたものであると思っております。  そこで、このヘルスケア・ニューフロンティア政策について、県民の理解を得るためにも、今後は、外部資金を導入し、県の取組を民間事業者による自走化につなげるなど、企業や団体等との連携をさらに進化させ、県民の負担を軽減させながら次のステージに進むべきであるというふうに考えております。  そこで、知事に伺います。  現在の国の動向も踏まえて、ヘルスケア・ニューフロンティア政策を進める意義について、どのように考えているのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、新産業の創出・育成に向けた科学技術イノベーションの推進についてであります。  かつて、ものづくり大国と言われた我が国も、昨今では、半導体の生産力で他国に負け、今や、基幹産業である自動車をはじめ、様々な製品の生産に影響が及んでいます。ほかにも、携帯電話にインターネットの機能を併せたスマートフォンは、世界を席巻する巨大市場を形成していますが、日本の企業は、この生産分野で完全に負けてしまいました。  しかし、もともと、この技術を世界に先駆けて開発したのは、NTTドコモのiモードであることを皆さんは覚えておいででしょうか。技術開発をする力は世界のどの国よりも優れているのに、製品化して稼ぐ部分で負けてしまうのが私たちの国の実態です。  政府はそうした状況に鑑み、国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策を策定し、国家目標を含む戦略を打ち出しました。この戦略では、官と民が連携して、科学技術投資の抜本的な拡充を図り、我が国を科学技術立国として再興し、日本経済を持続的に成長させることを目標としております。  具体的には、10兆円規模の大学ファンドを創設し、その運用益を活用して、世界トップレベルの研究開発を行う大学の共用施設やデータ連携基盤を整備するとともに、人材育成等を推進することでイノベーション・エコシステムを構築し、優れた技術を機動的かつ迅速に社会実装できるようにするものであります。  また、昨年6月に国が策定した新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画では、研究開発は私企業のみに任せると過少投資となりやすく、官民で取り組むことが重要とし、さらに、国益に直結する科学技術分野として、具体的にAI、バイオテクノロジー、医療分野などを掲げました。  〔資料提示〕  このように、国が経済の再生に向けて科学技術の強化に乗り出した中で、本県としても、地域に埋もれているシーズに目を光らせ、形にしていく自治体ならではの取組が大切であります。  そこで、県は、第7期神奈川県科学技術政策大綱で、持続可能な産業の創出やイノベーションを起こす人材を育成する環境の整備を基本目標として掲げました。かつて本県は、全国に先駆けた科学技術政策の取組の中で、光触媒技術の開発などで成果を上げた実績もあります。そして今は、KSP、殿町、理研横浜、湘南のサイエンスパークを拠点とした科学技術イノベーション活動を推進しています。  そこで、知事に伺います。  県は、地域経済の活性化につなげるための科学技術イノベーションを創出するために、どのように推進していくつもりか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、本県における地方創生の取組について伺います。  先ほど、子ども・子育てについての質問でも申し上げましたとおり、我が国も、また本県も明らかな少子化と人口減少の局面に入りました。  これまで県では、人口減少に歯止めをかけることと超高齢社会を乗り越えることの二つの課題を同時に克服するため、平成27年度に神奈川県まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定、令和2年度からは、第2期として、地方創生の取組を進めていると承知しております。  しかし、第2期総合戦略のスタート以来3年間はコロナ禍と重なり、地域経済と住民生活に大きな影響がありました。  一方で、コロナ禍は、人々にリモートワークなどのデジタル技術の活用を進めさせ、時間と場所にとらわれない働き方が可能となるなど、社会にポジティブな変化も生じさせました。  国では、こうした変化を契機として、デジタル技術の活用によって地方の課題解決と魅力向上を図ることで、誰もが便利で快適に暮らせる社会を実現させるために、令和5年度から令和9年度までを計画期間とするデジタル田園都市国家構想総合戦略を昨年12月に策定しました。  さらに、急速に進展する少子化について、経済的支援の強化、全ての子育て家庭を対象としたサービスの拡充、働き方改革の推進とそれを支える制度の充実の3本柱で、従来とは次元の異なる対策を進めることとしております。  本県においても、第2期総合戦略の取組をこれまで以上に強力に進めるため、社会情勢の変化に応じた国の動向を踏まえ、基礎自治体である市町村の意見などを取り入れながら、全庁一体となって、新たな総合戦略を定めていく必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  総合戦略が掲げる、人口減少に歯止めをかける、超高齢社会を乗り越えるという二つの課題に対する地方創生の取組について、どのように評価しているのか、また、国の動向などを踏まえ、本県の総合戦略の改訂の必要性をどのように考えているのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、サイクリングロードを活用したサイクルツーリズムの推進について伺います。  コロナ禍の中で、キャンプやバーベキューなど、アウトドアで休日を過ごすスタイルが人々の中に定着しました。今後は、こうした国民の嗜好に合わせ、県内に人を呼び込み、併せて、県民の健康に資するアウトドアツーリズムの推進が、とても魅力的な政策の一つであると考えております。  近年、欧米などでは、アウトドアスポーツをレジャーに近い感覚で捉え、キャンプ場のほか、パラグライダーやカヌー、乗馬、マウンテンバイクなどの施設を一定のエリアに集約させ、そのエリアの特性を生かしたアクティビティーや、歴史や特有の文化も体験できるネイチャーランドの整備が進んでおり、本県にとっても魅力アップのためのよい参考になると思います。  さて、そうした中、本県では昨年4月に、新東名高速道路の秦野丹沢スマートインターチェンジが開通し、都心から高速道路を通じて僅か40分ほどで、表丹沢の自然に触れることができるロケーションとなりました。  同インターチェンジは直近に県立秦野戸川公園を有し、折しも秦野市では、表丹沢魅力づくり構想を策定し、このエリア一帯の魅力づくりに着手しています。  そうしたことから、知事も、昨年12月議会で、海や山など、本県の魅力を生かしたアウトドアスポーツツーリズムを積極的に推進していくと答弁されました。  そこで、今回は、サイクルツーリズムについてお聞きしたいと思います。  本県には、東京2020大会のレガシーとなったサイクリングロードをはじめとして、ヒルクライムが盛んなヤビツ峠、太平洋岸に沿って湘南をはじめとする神奈川の海を存分に楽しむことができる太平洋岸自転車道、境川に沿って伸びる藤沢大和自転車道などがあります。  さらに、さがみグリーンライン自転車道は、相模川に沿って座間市の座架依橋付近から平塚市の湘南海岸付近を結ぶ全長21キロメートル余り、標準で道幅7メートルの雄大な自転車道であり、現在、海老名市域を中心に約4.9キロメートルが部分開通しており、令和7年度には、10キロメートル余りが開通するとのことであります。  このように、本県には様々なサイクリングの資源があり、これらをつないで周遊性を高め、県内各地のアウトドアスポーツや観光拠点を巡ることができれば、これまでにない誘客と県民の健康増進に結びつけることができるのではないかと考えます。  そこで、令和5年度当初予算案を見ると、新たにサイクルツーリズムを推進するための予算が盛り込まれております。この取組が順調に進んでいくことを大いに期待したいところであります。  そこで、知事に伺います。  サイクルツーリズムの推進について、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  第4の質問は以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 本県の活力を生む施策について、何点かお尋ねがありました。  まず、ヘルスケア・ニューフロンティア政策を進める意義についてです。  本県では、超高齢社会を乗り越えるため、未病の改善と最先端医療技術の追求を両輪として、健康寿命の延伸と新たな産業創出につながるヘルスケア・ニューフロンティア政策を推進してきました。  この政策の原動力となったのが、川崎市殿町地区に集積するライフサイエンス企業や、1,000者を超える未病産業研究会の会員など民間事業の方々です。  県はこれまで、こうした民間の力を最大限引き出すために、成長の担い手となる人と技術の集積やネットワーク化を牽引し、持続可能な循環を生み出す環境づくりを進めてきました。  例えば、殿町地区に県が整備したライフイノベーションセンターは、今や25の有望ベンチャー等が集積する国内有数の再生・細胞医療の拠点へと成長し、現時点で9種類の治験が行われています。  また、こうしたベンチャーへの期待が高まり、国や民間ファンドからの投資等が数億から数十億円規模で行われるなど、外部資金の獲得という面でも一定の成果が表れつつあります。  私はこれまで、課題を解決するプロセスを通じて経済のエンジンを回すという方針の下、ヘルスケア・ニューフロンティア政策を進めてきました。これは、国が新しい資本主義として掲げる、社会課題の解決と経済成長を同時に実現するという方針と、まさに軌を一にするものであり、これを機に、健康寿命の延伸と産業創出の実現に向けた取組を一層加速させていくべきと考えます。  そこで、今後は、県内のライフサイエンス分野の拠点や企業ネットワーク等を活用して、より多くの企業と資金を呼び込み、新産業へ成長させることで、その成果をいち早く県民の皆様に届けたいと思います。  こうした成長が持続する好循環の形成により、経済のエンジンを回しながら、ヘルスケア・ニューフロンティア政策を推進していくべきと考えます。  次に、新産業の創出・育成に向けた科学技術イノベーションの推進についてです。  本県では、昨年12月の県議会で議決を頂いた科学技術政策大綱において、持続可能な産業の創出・育成などを基本目標に掲げ、最先端医療やロボットなどを重点研究目標として取り組むこととしています。  こうした中、国では、国力の源泉となる大学の研究開発基盤を強化させるため、10兆円規模の大学ファンドの創設や、産学官ネットワークの強化など、大学を総合的に支援する動きを加速させようとしています。  そこで、県においても、国の投資を呼び込み、研究成果を地域社会に展開させるため、大学と他機関の共同研究、特区制度を活用した実証活動、サイエンスパークにおける産学公連携機能の構築を進めています。  一方、大学の研究成果が科学技術イノベーションの原石となり、新産業を創出するためには、優れた技術を有するベンチャーが次々と生まれ、育っていく環境の構築が必要です。  特に、優れた技術をいち早く実証して社会実装につなげること、その際の知的財産への対応や研究開発を支える資金の獲得が鍵を握ります。そこで、今後は、ベンチャーが新産業を生み出す起爆剤となれるよう、特に大学等と連携し、起業家人材の育成や国際競争を勝ち抜く知的財産戦略の構築に取り組みます。  また、新技術の信頼性を確保するために、その実証結果を公的な機関が評価する取組を進めます。さらに、社会への活用方策の検討や、多様な民間資金の導入促進にも取り組みます。  県としては、科学技術イノベーションを原動力として、将来の基幹産業になり得る最先端医療、エネルギー、ロボット等の分野において、新産業の創出と育成を実現させるよう取り組んでいくべきと考えています。  次に、本県における地方創生の取組についてです。  まず、地方創生の取組の評価についてです。  人口減少対策については、社会増に向けて、地域活性化プロジェクトや移住促進策などの取組を進める中、本県は転入超過が続いており、転出超過の市町村数も、総合戦略策定前の年である平成26年の18から昨年は6まで減少しています。  一方、自然増に向けては、県民の皆様が希望する出生率1.42の実現を目指し、結婚から育児までの切れ目ない支援を進めてきましたが、合計特殊出生率の低下に歯止めをかけることはできていません。  また、超高齢社会への対応については、未病の改善に向けた取組などを進める中で、県民の皆様の平均自立期間は年々伸びています。  このように、一定の成果はあったものの、自然増に向けた対策等、本県の地方創生の取組は道半ばです。  次に、総合戦略の改訂の必要性についてです。  本県の人口が減少局面を迎えた中、今後は、急速に進展する少子高齢化への対応など、これまで以上に地方創生の取組を進める必要があります。そのためには、デジタル技術の活用を進めながら、産業、観光、子育て、まちづくり等、県の幅広い分野にわたる施策を展開できるよう、総合戦略を見直していくことが必要です。  そこで、今後、少子化対策等、国の動向を見据えつつ、県の総合計画の策定と整合を図りながら、市町村と丁寧に意見交換を行い、神奈川らしい総合戦略となるよう改訂を進めていきたいと考えています。  次に、サイクリングロードを活用したサイクルツーリズムの推進についてです。  本県には、海沿いの太平洋岸自転車道や境川沿いの藤沢大和自転車道、さらには、現在整備を進めている相模川沿いのさがみグリーンライン自転車道など、魅力的なサイクリングロードがあります。  近年、サイクリングは注目されており、こうしたサイクリングロードを活用することで、広域的なスポーツツーリズムの展開が期待できます。さらに、サイクリングを楽しみながら、グルメ、観光、アウトドアスポーツといった魅力あるスポットに気軽に立ち寄っていただくことで、地域の活性化につながるものと考えます。  そこで、来年度はサイクルツーリズムを推進することとし、誘客促進に向けて具体的な取組を進めていきたいと考えています。  まず、体力や目的に応じて神奈川の魅力を存分に楽しんでいただくために、ルートプランの作成や、ルート周辺の店舗等に安心して立ち寄れるよう自転車を固定するサイクルラックの設置を進めます。  また、アプリやウェブサイトで、ルートや周辺のグルメ、観光、アウトドアスポーツなどを分かりやすく情報発信します。さらに、ルートを活用した体験イベントを開催し、その様子を広く発信することで、神奈川のサイクルツーリズムの魅力をPRします。  県ではこうした取組により、神奈川らしい魅力的なサイクルツーリズムを推進し、さらなるスポーツ振興と地域の活性化につなげていきたいと考えています。  答弁は以上です。  〔長田進治議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 長田進治君。  〔長田進治議員登壇〕 ◆長田進治議員 御答弁ありがとうございました。  それでは、1点、再質問させていただきます。  私も地元にさがみグリーンラインがありますので、これを歩いていますと、本当にすばらしい自転車道であり、遊歩道でありますので、ぜひ知事も歩いてみていただきたいというふうに思います。  このサイクルツーリズムの推進については、広域的に幹線をつなげていくことが大事だと思うんですけれども、そうしたことをすればするほど、自動車との危険の問題はどうか、歩行者との関係はどうかといった、安全の確保等、様々な関係団体と連携をして進めることが必要だと思いますけれども、関係団体との連携についてはどのように考え、進めていこうとされるのか、伺いたいと思います。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 広域的なサイクルツーリズムを展開していくためには、県だけではなくて、市町村をはじめとした関係機関・団体等の御意見も伺い、連携しながら取組を進めることが大変重要であります。  そこで、関係機関等と連携するためのプラットフォームをつくり、ルートの安全面を含め、様々な観点から話し合い、課題を解決しながら、神奈川らしい魅力あるサイクルツーリズムを推進していきたい、そのように考えております。  答弁は以上です。  〔長田進治議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 長田進治君。  〔長田進治議員登壇〕 ◆長田進治議員 ありがとうございました。  それでは、何点か要望を申し上げたいというふうに思います。  まず、ヘルスケア・ニューフロンティア政策については、その次にお聞きした新産業の創出や科学技術イノベーションなども包含して考えてみれば、一定の理解が進むものというふうに私は思います。  ただ、その結果としての健康寿命を延伸するということについては、まだまだ成果を得ようとすると、それは少し尚早かなという感じがいたします。  いずれにせよ、納税者である県民の理解を得るためにも、こうした取組が利益を生んで、そしてその利益がまた次の投資に進んでいく、そういうことが必要でありますし、県民の負担を減らすような施策の方向性を示していくことが重要であると思っていますので、よろしくお願いします。  次に、サイクルツーリズムについてでありますけれども、本県はコンパクトな県域の中で魅力的な観光スポットやグルメ、自然環境などが凝縮されていますので、サイクリングでこれらを巡るツーリズムというのは、他県にできない魅力づくりの一つになると私は思っています。  また、前後でペダルをこぐ2人乗りのタンデム自転車の公道の走行が4月から解禁されました。例えば、視覚障害のある方が後ろに乗って自転車に乗ることを楽しむことができる、こういうこともありますので、そうした施策も含めて、ぜひ魅力あるものにしていただきたいというふうに思います。  ちなみに、サイクリングロードというのは自転車に乗る人だけが利用するものではなくて、歩行者も伸び伸びとウオーキングなどが楽しめるわけでありますけれども、現在、建設が進められているさがみグリーンラインについては、3年後には10キロメートルの区間が完成するわけであります。これを往復すると20キロメートルになります。  この直近には陸上競技場も隣接していますので、例えば、ハーフマラソンの大会なども、大規模な交通規制をしなくても開催できるということなわけですね。そうしたことができれば、全国からも、ハーフマラソンの大会となると多くの方が参加をされますし、ぜひ、サイクルツーリズムについては、ハードとソフトと両面がしっかりとタイアップをして整備を進めていくことが大事だというふうに思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  〔長田進治議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 長田進治君。  〔長田進治議員登壇〕 ◆長田進治議員 第5の質問は、県政の重要課題についてであります。  〔資料提示〕  まず初めに、神奈川県総合リハビリテーションセンターについて伺います。  厚木市の七沢にある神奈川県総合リハビリテーションセンターは、一つの病院と三つの福祉施設から構成され、障害のある方の社会復帰のため、医療と福祉が連携して、総合的かつ一貫的なリハビリテーションを実施する施設であり、障害のある方にとって重要な役割を担っております。  この病院の特徴の一つに、体育科のスタッフを中心としてパラスポーツを積極的に行ってきたことがあり、施設としても、体育館、陸上競技場、プール、アーチェリー場、テニスコート等を有しております。  かつては外国のトップ選手が招待されるなど、アーチェリーをはじめ、様々な大会が開催されたほか、冬季パラリンピックで行われたチェアスキーが開発されるなど、パラスポーツの拠点として輝かしい時代があったと承知しております。  しかし、それも過去の話であり、近年は体育施設の老朽化が進み、体育館もプールも治療のみに使われている状況で、また、グラウンドは雑草が伸びてしまっており、パラスポーツ振興に向けた活用は、ほとんどされていません。  そこで、一昨年、我が国でパラリンピックが行われたことを機に、改めてこの神奈川県総合リハビリテーションセンターをパラスポーツの振興に活用できないかと考えてみました。  すると、緑豊かで広々とした環境の中、専用の施設もあり、医師も指導者もいるという、まさに最高の環境が整っていることに気づきます。ぜひ、この施設を有効活用し、パラスポーツ振興の拠点的役割を担ってほしいと考えております。  また、医療の面に目を向けますと、障害のある方がこの施設で安心して長期の生活訓練をするためには、医療と福祉の連携が大変重要であります。しかしながら、神奈川県総合リハビリテーションセンターの医療部門については、内科医の不足から、障害のある方が病気になったときに入院の措置が行えず、他の病院に転院していただく形となっています。  しかし、一般の病院では、様々な特性のある障害のある方へのケアが十分には行えず、転院したことによって、褥瘡を悪化させてしまったような問題も起きているようであります。  そこで、知事に伺います。  今後、パラスポーツ振興の拠点的役割を担うため、神奈川リハビリテーション病院のスポーツ施設をどのように活用していこうと考えているのか、また、神奈川県総合リハビリテーションセンターにおける医療と福祉の連携強化に向け、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、神奈川県立総合療育相談センターの今後のあり方について伺います。  神奈川県立総合療育相談センターは、肢体不自由児、重症心身障害児・者、知的障害児、発達障害児などを対象とした専門的な外来診療や、市町村と連携した療育支援、短期入所事業など、本県の障害児の療育の中核的な機関として、多岐にわたる機能を有しています。  一方、センターでの短期入所事業は、医師や看護師などの医療人材が不足し、医療施設等が老朽化していることから、急変時の対応が難しい方の受入れを断るような状態が数年にわたって続いております。  私は、当初からこの問題について関係者から相談を受け、改善を図るよう県に求めてきましたが、医師の確保に努めますという回答のまま事態は改善されず、今日に至っております。  とりわけ、重症心身障害をお持ちの方を24時間365日ケアする家族にとって、外せない仕事や遠隔地へ出かけなければならない出来事に対応するための短期入所は必要不可欠な事業であり、これを神奈川県の福祉施設の要となる総合療育センターが担えていないということは、大変憂慮すべきことであると思っています。  県ではこうした状況を受け止め、後ればせながらも、昨年秋に神奈川県立総合療育相談センターあり方検討会を立ち上げ、短期入所事業の運営方法を含めて、今後のセンターの在り方の検討を進めているということは承知しています。  しかし、長い間この問題に直面していながら、今になって検討のためにさらに時間を費やし、答えを出してから改善の取組を進めようというのでは、あまりにも悠長な姿勢ではないでしょうか。これでは、日々のケアに御苦労されている御家族や当事者の思いを酌むことができていないと言わざるを得ません。  果たして、検討の結果が出れば、これまで説明しているとおり、確保できなかった医師が確保できるのでしょうか。できることならば、すぐにやる、できないことならば他の方策を考え、実行する、医師の確保については、他の病院や診療所、療育機関と連携しながら対処するような方法について、すぐにでも取り組んでみることが必要だと私は思います。  そこで、知事に伺います。  短期入所事業をはじめとした県立総合療育相談センターの今後の在り方について、どのように考えているのか、早急な対応が必要と考えますが、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、困難を抱える子どもへの対応について伺います。  コロナ禍が長期化する中で、心の不調や貧困、虐待、家族の介護など、子供たちが抱える様々な困難が顕在化しています。昨年の本県の調査では、いじめの認知件数は3万件を超え、過去最多となり、小中高の公立学校全体で2万人に近い子供たちが不登校の状況にあるとのことです。  こうしたいじめや不登校の増加の背景にも、子供たちが抱える困難が複雑化、深刻化していることがあるのではないかと考えております。  県教育委員会ではこれまでも、心理や福祉の専門人材であるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを配置して、子供たちの抱える困難に対応してきており、我が会派でも、学校が地域や関係機関と連携して、こうした子供たちをサポートしていくことの必要性を訴えてまいりました。  その結果、昨年12月の代表質問では、教育長から、自ら声を上げない、相談できない子供たちをサポートする新たな仕組みを検討していくとの答弁があり、令和5年度当初予算案では、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置をさらに拡充するとともに、困難を抱える子供を早期に把握し、相談から医療・福祉へとつなぐ、かながわ子どもサポートドックを新たに実施することが示されています。  サポートドックという取組は一体どのようなものか、名称だけでは想像しにくい取組ですが、コロナ禍の影響で、子供たちを取り巻く人と人とのコミュニケーションが希薄な日々が続いたこともあり、自分自身が困難な状況に置かれていることに気づいていない子や、気づいていても声を上げない、あるいは上げられないという子供たちを見つけ出し、その課題に応じて適切に福祉や医療等の支援につなげていくことは大変重要であります。  そこで、教育長に伺います。  自ら声を上げない、相談できない子供たちが抱える困難を見いだし、福祉や医療等の支援につなげていくため、来年度から教育委員会が取り組むかながわ子どもサポートドックで、具体的にどのように対応しようと考えているのか、見解を伺います。  〔資料提示〕  最後に、教員の確保について伺います。  少子高齢化の進行や国際化、情報化の進展など、急速な社会の変化に伴い、学校現場では、不登校、いじめや学習意欲の問題など、子供たちをめぐる状況も大きく変わっており、こうした多様な教育ニーズに対応していくためには、子供たちへの指導体制を着実に整備していく必要があると考えております。  そのためには、何よりも子供たちの教育に直接携わる教員が、適正に配置されていることが重要であります。  民間団体等の調査によれば、教員は、小中高校生が将来なりたい職業の上位に位置していますが、その一方で、教員採用試験の志願者が募集数を下回る、いわゆる定員割れになる県があるなど、優秀な教員の確保が難しい状況になっており、昨年度、国が行った調査では、本県を含む全国で教員不足が発生していることが明らかになりました。  また、産休に入った担任教諭の代わりとなる臨時的任用教員が見つからずに、教頭が授業を行っている姿がテレビで報じられることもありました。  教員を志願する大学生等が減少している原因としては、教育課題の複雑・困難化、子供たちと直接関わらない部分での業務の多忙などが指摘されています。  まずは、教員の定数を増やすことで、教員個々の負担を軽減すべきだと考えられますが、教員の定数は国の制度に基づくものであります。しかし、それでも県教育委員会は教員の確保のため、様々な工夫・改善や取組を行ってきました。そして、国においても、臨時的任用教員の成り手を確保するため、新たな制度を設けるということで、先日、新聞報道がありました。  こうした制度の活用も含め、子供たちの学びを保障するために、教員の安定的、計画的な確保に向けて、様々な手段を講じていくべきであると考えます。  そこで、教育長に伺います。  教員不足についてどのような認識を持ち、今後、教員の確保に向け、県教育委員会としてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。  第5の質問は以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 県政の重要課題についてお尋ねがありました。  まず、神奈川県総合リハビリテーションセンターについてです。  初めに、パラスポーツの振興に向けた施設の活用についてです。  パラスポーツは障害者の生きがいづくりにも有効であり、センター内の神奈川リハビリテーション病院では、これまでも治療に積極的に取り入れるほか、体験会の開催など、その普及に取り組んできました。  また、県としても、神奈川県総合リハビリテーションセンター内の老朽化した体育館等、スポーツ施設の改修工事を計画的に進めてきました。しかし、パラスポーツに適した環境を持つ施設は少ないため、センターのスポーツ施設の環境をさらに整備した上で活用すべきとの声があります。  そこで、今後も、県では施設改修を着実に進めるとともに、パラアスリートや地域の障害者への開放等、パラスポーツ振興に向けた施設の積極的な活用について庁内横断的に検討し、取り組みます。  次に、医療と福祉の連携強化についてです。  これまでセンターでは、福祉施設利用者に対する病院による医療の提供や、病院の退院者の福祉施設利用等、連携して社会復帰支援を行ってきました。  一方、センター内の病院は、高度なリハビリを行う医療機関ですが、内科等で専門的な治療を要する場合、対応が困難という課題もあります。そこで、今後は、センター内の福祉施設の利用者が安心して適切な医療を受けられるよう、病院の体制強化を図るとともに、地域の医療機関とも速やかに連携できる体制づくりを検討していきます。  こうしたことにより、神奈川県総合リハビリテーションセンターの機能の充実強化に努めてまいります。  次に、県立総合療育相談センターの今後のあり方についてです。  県立総合療育相談センターは、発達や障害が心配される子供やその家族に対して、外来診療や療育支援、短期入所などの事業を行う総合的な療育機関です。  このうち、短期入所は、家族の休息や病気などの際に、一時的に障害児をお預かりする事業ですが、医療等の体制確保が困難なことや、設備の老朽化から、近年、特に重度の方の受入れが難しい状況が続いています。  県では、これを大きな課題と受け止めて、常時、医療職の募集を行うだけでなく、療育に実績がある医療機関に個別に協力要請も行ってきましたが、高度な専門性が求められる療育分野の人材は限られており、確保には至っていません。  そこで、県は、センターの現状を打開するため、実際に短期入所の利用ができずにお困りの家族の団体、地元の医療・福祉の関係者、療育を専門とする医師などに協力いただき、昨年9月にセンターのあり方検討会を設置しました。  これまでに、全ての療育機能を一つの機関で担うのは困難であり、他の機関と連携すべき、医療機関が行う短期入所に対して、他の自治体が実施している支援事業を参考にしたらどうか、これからの療育は、より身近な地域で支援を受けられることが必要といった課題解決に向けた具体的な意見を頂いています。  また、検討会と並行して障害当事者へのヒアリングも実施し、意見を伺っていきます。  検討結果は、来年度の早い時期に報告書として取りまとめていただく予定であり、これに基づいて必要な対策を講じていきたいと考えていますが、短期入所の受皿の確保などについては、報告書を待たず、医療機関等に精力的に働きかけるなど、早急に対応してまいります。  また、設備の老朽化の課題についても、酸素吸入等で使用する医療ガス設備の改修を年度内に実施し、受入れ体制を整えていきます。  県は、障害児とその家族が地域で安心して暮らすことができるよう、関係者の皆様の御協力を頂きながら、センターの機能の充実を図ってまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(花田忠雄)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 花田教育長。 ◎教育長(花田忠雄) 教育関係の御質問にお答えします。  困難を抱える子どもへの対応についてお尋ねがありました。  心の不調や貧困などの困難を抱えていながら、自ら声を上げない、相談できない子供たちを学校が把握し、支援につなげていくことは大変重要です。そのため、県教育委員会では、来年度から、こうした子供たちをサポートする新たな仕組みとして、かながわ子どもサポートドックを全国に先駆けて実施したいと考えています。  具体的にはまず、子供たちが1人1台端末を活用して、定期的に心の状態や生活状況等を自己チェックします。その結果を自動で集計し、見える化することで、学校は困難を抱える子供をいち早く把握し、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーによるプッシュ型の面談へと進めます。  その上で、支援が必要な子供には、校内のケース会議で支援方策を検討し、医療や福祉等の専門的なアウトリーチにつなげていきます。  こうした、かながわ子どもサポートドックの仕組みを進める上で、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の拡充が不可欠です。そのため来年度は、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーを大幅に拡充し、全ての県立高校等への週1日配置や、県域の公立小中学校へのさらなる配置を図りたいと考えています。  県教育委員会としては、市町村教育委員会と連携し、かながわ子どもサポートドックによる新たな取組を進め、学校を支援のプラットフォームとして、困難を抱える子供たちに、しっかりと対応してまいります。  次に、教員の確保についてお尋ねがありました。  現在、全国的に深刻となっている教員不足は、子供たちの学びに支障を来しかねない重大な問題と認識しています。  県教育委員会ではこれまでも、教員採用試験における年齢制限の撤廃や、様々な経歴を加味した特別選考をはじめ、教員免許を持ちながら教職に就いていないペーパーティーチャーへの研修等、教員の確保に向けて、可能な限りの工夫を図ってきました。  そうした中でも、本県の教員採用試験の志願者は減少しており、意欲と能力のある教員の確保が、ますます難しくなっています。  また、近年の大量退職に伴う採用者の増加により、世代交代が進んだ結果、若手教員の産休や育児休業の取得が増え、代替となる臨時的任用教員の不足が顕在化しています。  そこで、県教育委員会では、来年度から国の方針も踏まえて、4月から7月までの間に産休や育休の取得が見込まれている教員の代替となる臨時的任用教員を、4月1日に配置する運用を開始します。これにより、臨時的任用教員の予定者が、教員が休暇に入るまでに雇用への不安から他の職に就いてしまうといった課題を解消していきます。  一方で、教員採用試験の在り方を大胆に見直すことも急務です。そのため現在、県教育委員会では、教員採用試験の機会の拡大や大学推薦制度の早期化などについて検討を進めており、その内容を今年度中に明らかにしてまいります。  答弁は以上です。  〔長田進治議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 長田進治君。  〔長田進治議員登壇〕 ◆長田進治議員 御答弁、誠にありがとうございました。  それでは、1点、再質問をさせていただきます。  県立総合療育相談センターの今後のあり方についてでありますけれども、これはもう何年も前から、その話を担当の方とさせていただいているときに、もうセンターだけで抱え込んでいては、なかなかこれは解決は難しいでしょうと、地域の医療機関等と連携していかないと、なかなか難しいんではないですかということは、お互いの認識として既にそのときあったと思うんです、私は。でも、こういう方向性について検討会をつくって、今、知事の御答弁では来年度ですよね、来年度の早い時期に答えを出して、それから様々な機関と検討をして進めていくと言ったら、果たしてどのぐらいの時間がかかってしまうんでしょうかということを本当に思うんです。何度も言いますけれども、介護する家族にとっては、これは特に重身の方の場合は、もう毎日毎日、日々なくてはならないサービスなわけであります。  ですから、ここで1点お聞きしますけれども、新しい方向性が出て、新しい体制ができて、新しい体制の中でそうした子供たち、人たちを受け入れることができるようになるまでの間、それなりの時間はかかると思いますけれども、その間はどう対応されるんでしょうか。そのことについてお聞きしておきます。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、お答えいたします。  重症心身障害のお子様や御家族がお困りのときに利用される短期入所というのは、当事者の負担の軽減につながる大変重要なサービスだと思います。総合療育相談センターの、この機能が十分に発揮できていないことを重く受け止めています。  総合療育相談センターでの受入れが難しい中、県は、医療機関に対し、短期入所事業所の開設を働きかけ、昨年度、新たに2か所の事業所を開設いただきました。また、市町村と共に、福祉施設が行う短期入所事業所に看護職員の配置支援も行ってきました。  引き続き、医療機関等に精力的に開設を働きかけ、重症心身障害児・者の受入れ先を一つでも増やし、当事者とその家族が安心して暮らせるよう、力を尽くしてまいりたいと考えております。  答弁は以上です。  〔長田進治議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 長田進治君。  〔長田進治議員登壇〕 ◆長田進治議員 再答弁ありがとうございました。  それまでの間は、一か所でも受入れ先を増やしていくということですね。その重身の子というのは、人というのは、それぞれ状態に違いがあって、その人のキャラクターをしっかりと知った人が、きちっと見ていただくということが大事なんですけれども、できるだけ数を増やして、今回はあっちです、次回はこっちですというようなサービスの在り方では、非常に不安定であります。ですから、この療育センターが一人一人の御利用者の方のキャラクターをしっかり理解をして、安心して受入れのできる体制を一日も早くつくっていただきたい。  このセンター全体に関しては、利用者の皆さんは大変いいサービスをしてくださっていると感謝されているんですよ。ただ、玉にきずが、このサービスだけが今できていないということでありますから、センター全体を否定する気は全くないんです。ただ、県の療育の中心施設ですから、このことはしっかりやっていただきたいということをお願いしたいと思います。  それから、神奈川県総合リハビリテーションセンターでございますけれども、今回取上げました課題のほかにも、利用されている方たちから様々な御要望を頂いております。  このセンターは、センター全体を運営するリハビリテーション事業団というのがあって、その中に病院部門があって、福祉部門があって、県のほうは県立病院課があって、この四つの運営主体が、それぞれに思いを持ちながら運営をされているのですね。  予算としては、リハビリテーション事業団に県から、何と言うか、言い方はよくありませんけれども、あてがいぶちとして、予算が年間これだけですと与えられて、その中で、医療についても福祉についても、これをやりたい、これをやりたいということで、運営がされているんだけれども、この予算が十分でないと、どうしてもお互い自分の立場を主張し合うだけで、なかなか連携した動きができていかないと、こういうことはあると思うんですね。  ましてや、これからパラスポーツをやっていこうとなったら、そこに県のスポーツ課なども関わっていくわけでありますから、そこはやっぱりしっかりとした予算を獲得していただいた上で、この施設の魅力向上ということに向けていただきたい、そのことをお願いをしておきます。  それから、教員の成り手不足のお話もありました。本当に隔世の感があります。いわゆる就職氷河期の頃などは、もう学校の先生になるといったら大変な倍率の中で、すごく優秀な人も教員になれずに終わっていた時代もあったということから考えると、教育の現場というのは、社会の変化に翻弄されながら、様々な問題を抱えているわけですけれども、ぜひ教育長はじめ幹部の皆さんは、そうした社会的な変化にしっかりと目を光らせながら、子供たちに影響がないように様々な施策を打っていただきたいということをお願いします。  最後に、黒岩知事に申し上げたいというふうに思います。  知事や市町村長など、いわゆる首長(しゅちょう)、ここでは首長(くびちょう)という言い方をしますけれども、よく多選の弊害ということを指摘する声があります。この多選の弊害というのは、どういうものか。これは首長自身が他者の意見に耳を貸さず、独善的になったとき、あるいはその逆で、政治に対する意欲が減退してしまったとき、あるいは知事の下で働く職員が率直な意見を言わず、イエスマンばかりになってしまったようなとき、あるいはマンネリズムに陥って、改善の意欲を失ったときなどに指摘されるものであると私は思います。  4選に向けて黒岩知事の意欲が示される中で、私たちは、地に足のついた政治という言葉を多用して質疑をさせていただきました。  私たちも、黒岩知事におかれても、いま一度初心に返り、県民が日々の生活で県に対して何を望んでいるのか、その声に耳を澄ませ、県民にとって、より身近な行政を凡事徹底の精神で進めていくこと。そのことで、多選の弊害と言われるような批判をはねのけていこうではありませんか。共に、神奈川県の発展のため、神奈川県民の幸せのために頑張っていきましょう。  以上で、私からの質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。                               〔拍 手〕 ○議長(しきだ博昭) お諮りいたします。  休憩いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(しきだ博昭) 御異議がないと認めます。  よって、休憩いたします。  なお、再開は20分後といたします。                  午後3時27分 休憩       ───────────── ◇ ───────────── △《本会議録-令和5年第1回-20230216-029368-質問・答弁-斉藤たかみ議員-代表質問①県政の諸課題について②安全・安心な社会の実現に向けた取組について③かながわの未来に向けた取組について》                   午後3時50分 再開   〔議会局長報告〕  出席議員 副議長共89名 ○副議長(曽我部久美子) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(曽我部久美子) あらかじめ時間の延長をいたします。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(曽我部久美子) 質問を続行いたします。  斉藤たかみさん。  〔斉藤たかみ議員登壇〕(拍手) ◆斉藤たかみ議員 立憲民主党の斉藤たかみでございます。  議長のお許しを頂きましたので、私は、立憲民主党・民権クラブ神奈川県議会議員団を代表し、通告に従い、提言を交えながら、順次質問をさせていただきます。  知事並びに教育長、警察本部長におかれましては、明快な御答弁をお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、御清聴のほど、よろしくお願い申し上げます。  それでは、質問に入ります。  〔資料提示〕  質問の第1は、県政の諸課題についてであります。  まず、財政運営について伺います。  我が会派は、財政問題について継続的に取り上げてきており、昨年9月の代表質問では、令和4年度及び5年度の財政見通しと対応を含め、今後の財政運営について、重点的に知事と議論を行いました。  〔資料提示〕  今回提案された令和5年度当初予算案を見てみますと、県税収入は、地方譲与税を加えた税収全体で、前年度当初予算額を983億円上回る1兆5,109億円を見込み、税交付金を差し引いた実質ベースで1兆1,904億円となる見込みとなっております。  当然、本県の基盤的な歳入である県税の増収は、財政運営の面からは歓迎すべきことではありますが、近年の食料品やエネルギー価格等の高騰により、県民や事業者を取り巻く環境は大変厳しい状況にあることも事実であります。  一方で、政府は、昨今、防衛力強化の財源を確保するため、所得税や法人税を中心とした増税の方針を決定しましたが、この厳しい状況の中でのさらなる負担増は、県民生活や事業活動に深刻な影響を及ぼすのではないかと大変危惧をしているところであります。  〔資料提示〕  こうした状況の中での本県の来年度当初予算は、350億円の財源不足から始まりましたが、事業見直しや今年度の税収増等を活用して収支を均衡させたものと承知をしております。  財源不足額については、令和2年度の時点では、新型コロナウイルス感染症の影響などを受けて1,100億円まで膨らみ、本県の財政は危機的な状況に陥りましたが、その後は徐々に財源不足額が縮小するとともに、一時、大きく減らした財政調整基金の残高も、おおむねコロナ前の水準まで回復していることが見てとれます。  コロナ禍で難しいかじ取りが求められている中にあって、大幅に財政状況を悪化させることなく財政運営を続けていることについては、我が会派としても一定評価をしているところであります。  しかしながら、今後の先行きを見通しますと、世界的なインフレを背景とした不透明な海外経済の状況や、さらなる税負担に向けた動きもあり、楽観視することはできないものと考えております。  近年は好調な税収に支えられる形で予算編成を行っておりますが、こうした機会を捉えて強固な財政基盤を構築していくことが、今後の柔軟な財政出動に備えるためにも大変重要だと考えております。  そこで、知事に伺います。  経済情勢の不確実性等により、先行きが見通せない中にあって、財政運営にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、県立中井やまゆり園における改革の見える化による虐待防止について伺います。  中井やまゆり園をはじめとした県立施設における虐待防止の実効性ある取組として、我が会派は、当事者だけでなく、県民総ぐるみで虐待防止に取り組むことが重要であるという考え方の下、これまで一貫して、園の問題点や支援の見える化について主張してまいりました。  〔資料提示〕  前回の県議会定例会においては、昨年9月に公表された外部調査委員会の調査結果を踏まえ、県によるチェック機能を強化することに加え、第三者の視点を入れることが虐待を防止する上で有効であることから、県立施設におけるさらなる地域生活移行の取組を推進することを求めたところであります。  実際に中井やまゆり園では、昨年4月から、入所者が施設外の事業所に通所することや、秦野駅前に拠点となる場を確保し、地域と交流することなどを行っており、利用者や職員が地域の一員となることで、虐待が未然に防げる生活環境になっていくことが期待されているところであります。  〔資料提示〕  また、昨年12月には、県本庁舎で行われたシンポジウムで、民間の支援改善アドバイザーにより、中井やまゆり園において改善の兆しが見え始めたことが実感できる内容が報告されるなど、改善に向けた一歩を踏み出していることを感じております。  これまで園に対し、数々の問題が指摘されてきた事項について見える化することは、我が会派としても求めてきたことではありますが、今、申し述べたようなよい取組も見える化することも、関係者だけではなく、県民一人一人が責任感を持ち、まさに総ぐるみとなり、園の再生につながっていくものと考えております。  そこで、知事に伺います。  県立中井やまゆり園の虐待防止のため、負の側面をしっかりと見える化し、対応するとともに、成果のあった地域交流の一層の推進や園の取組など、すばらしい改善状況も見える化することが、県民総ぐるみでこの問題に向き合い、虐待防止につながると考えますが、所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、感染状況を踏まえた新型コロナウイルス感染症の5類への移行に係る対応について伺います。  新型コロナウイルス感染症の第8波については、感染者数の減少傾向が顕著となってきており、病床利用率も、2月13日現在で約36%まで低下しております。  こうした中、かねてから課題とされていた感染症法上の位置づけを季節性インフルエンザと同じ5類に移行することが国から公表されましたが、新型コロナウイルス感染症がこの世からなくなるわけではなく、流行は今後も一定の間隔で繰り返されるという専門家の見解もあり、これで安心ということにはならないと考えております。  県内では、昨年末から、新型コロナウイルス感染症の患者を含む救急搬送が急増し、すぐに入院できず、症状が悪化したりする事態が生じているという報道もありました。  〔資料提示〕  また、年末年始を含むこの冬の全国の感染状況を見ると、現時点で第7波と比べて、感染者数は下回っているとされているものの、死者数はこれまでで最多となり、1日で500人を超えた日もあったと報じられたことは、多くの人々に不安を与えたものと推察をしております。  この点、新規感染者の状況に比べて死亡者が増えているのは、致死率が上がっているのではないか、また、5類への移行は時期尚早ではないかという懸念の声もあるようであります。  そもそも、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが、現在の2類から5類へと移行されるのは、オミクロン株が主流となり、感染拡大が始まった3年前と比較して、総合的な観点から、危険性が低下したことが分かってきたということが理由のはずであります。  しかし、このように実際に多くの方が亡くなっていることや、救急搬送の困難事例等の状況が報道されると、医療が必要な人が受診できなかったのではないかと不安になる県民の皆様も少なくないと思われます。  また、特に、これまでも重点的に対応してきた高齢者などのハイリスクの方々については、新型コロナウイルス感染症の特性が変わらない以上、引き続き注意深く対応していくべきであります。  本県ではこれまで、特性と感染状況に応じて、国に先んじて独自に対策を講じてきたと承知をしており、こうした県民が抱えるであろう不安に対しても、しっかりと説明していくべきと考えております。  そこで、知事に伺います。  県は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが見直される一方、第8波では、多数の死亡者が発生している状況をどのように捉えているのか、また、5類移行後も、高齢者などのハイリスクの方への対応は重要と考えますが、所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、飲食店等における今後の感染防止対策について伺います。  新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類へ移行されることに伴い、医療費や医療提供体制の見直しが議論されておりますが、医療以外の分野においても、様々な感染防止対策の見直し等が進むと考えております。  例えば、本県においては、令和3年4月から、感染の急所とされた飲食店を対象とするマスク飲食実施店認証制度が実施されておりますが、特に最近では、マスク飲食を実施している方も少なく、店舗側も、利用客への注意等はしていないのが現状と思いますし、パーティションの設置や座席間隔の確保も、以前ほどには守られていないと感じております。  このように、飲食店の感染防止対策は、既に実態に合わなくなってきてしまっており、行政がお墨つきを与えるようなこの制度を、いつまでも続けることには疑問があり、今後、行われる5類への移行に合わせて、当然見直しが図られるべきと考えております。  一方で、県からの感染防止対策に関する働きかけが一気になくなってしまうということには懸念も感じますので、単に認証制度をやめればいいというものではなく、感染防止対策に関する何らかの方策が必要ではないかと考えます。  そこで、知事に伺います。  マスク飲食実施店認証制度については、制度と実態の乖離状況を踏まえ、廃止すべきと考えますが、知事の所見を伺います。  また、5類への移行後は、県内の事業者向けに、どのように感染防止対策の働きかけを進めていこうと考えているのか、併せて所見を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 斉藤議員の御質問に順次お答えしてまいります。  県政の諸課題について、何点かお尋ねがありました。  まず、財政運営についてです。  令和4年度は、県税等で約1,070億円の増収となりましたが、このうちの770億円については基金に積み立て、残りの300億円については令和5年度の当初予算編成に活用しました。  5年度の当初予算編成では、追加の財政需要等により、財源不足は370億円にまで拡大したため、4年度の財源を活用しても、なお不足する70億円については、事業見直しで財源を捻出し、収支を均衡させました。  これらの財源対策のうち、令和4年度の基金積立てについては、交付税の後年度精算のために340億円を確保したほか、中長期的な視点で取り組む必要のある施策の財源を確保しました。  具体的には、まず、脱炭素社会の実現のために、神奈川県気候変動対策基金に135億円を積み立てます。また、次世代育成の取組として、新たに神奈川県子ども・子育て基金を設置し、80億円を積み立てるほか、教育施設の老朽化対策を進めるため、財政基金に150億円を積み立てます。さらに、庁舎等の県有施設の老朽化対策として77億円を積み立て、防災拠点となる施設等のトイレ整備を重点的に進めるほか、老朽化した備品の整備を行います。  このように、税収増等を有効に活用し、継続性が求められる施策の後年度負担に備えることで、当面必要な財政基盤を構築できたと考えています。  今後も引き続き、中長期的な視点を持った財政運営により、持続可能な神奈川を推進してまいります。  次に、県立中井やまゆり園における改革の見える化による虐待防止についてです。  中井やまゆり園は、閉鎖的な環境の中で不適切な支援が常態化したと指摘されており、虐待を二度と起こさないためには、園の改革の見える化を進めることが大変重要です。  中井やまゆり園では、職員アンケートを実施し、約40件の不適切な事案を把握したことから、私は、この際、うみを全て出し切ろう、隠すことなく全てを明らかにするよう強く指示し、外部調査委員会を設置して徹底的に調査を行いました。その結果、91件もの事案を把握し、昨年9月、虐待が疑われる25事案を含め、全てを公表するなど、負の側面の見える化を図ってきました。  こうした園の実態の見える化を図りながら、施設現場では、民間の支援改善アドバイザーの指導の下、地域とのつながりを意識した日中活動の充実など、支援の改善に取り組んできました。徐々にではありますが、利用者や職員の変化につながっています。  こうした園の一連の経過、状況を、昨年12月に私も参加した県庁大会議場で開催したシンポジウムにおいて、広く県民の皆様に発信しました。参加者からは、県の本気度を感じたといった声を頂き、見える化の意義を実感したところです。  県は今後も、負の側面を含め、見える化を図りながら、園の改革を進めていきます。条例の目指す当事者目線の障害福祉を生まれ変わった中井やまゆり園が実践し、地域共生社会の実現に向けて全力で取り組んでまいります。  次に、感染状況を踏まえた新型コロナウイルス感染症の5類への移行に係る対応についてです。  まず、第8波において、多数の死亡者が発生している状況についてです。  全国と同様、本県においても、第7波に比べ、第8波のほうが死亡者数は多くなっています。これは、ウイルスの病原性が変わったわけではなく、季節的な要因による死亡者の増加に加え、昨年9月以降の発生届の限定化の影響で、公表数値以上の感染者が存在することが原因ではないかと考えられます。  ただし、発熱外来では、高齢者等ハイリスクの感染者の8割以上が発症後1日以内に受診できていました。また、入院についても、搬送に時間がかかることはあったものの、入院の遅れが死亡につながった事例はないと聞いています。  さらに、本県では、高齢者施設への集中検査や往診治療の徹底などに取り組んだこともあり、第7波と比較した死亡者数の増加率は、全国平均の1.5倍に対して1.2倍と小さくなっています。  亡くなられた方が多かったことは誠に残念ではありますが、第8波において、医療が必要な方への対応はできていたものと考えています。  次に、5類移行後の高齢者等ハイリスク者への対応についてです。  5類以降も、ハイリスク者を守る取組の重要性は変わりません。そこで、県では、高齢者施設等への検査や、感染対策指導等に必要な保健所体制の強化、医療と介護の連携を図る制度の構築について国に求めています。  新型コロナウイルス感染症が5類に見直された後も、高齢者をはじめとしたハイリスクの方に対して、必要な医療が提供されるよう取り組んでまいります。  次に、飲食店等における今後の感染防止対策についてです。  まず、マスク飲食実施店認証制度の廃止についてです。  本制度は、国の第三者認証制度として都道府県に実施が求められており、本県単独で廃止することは難しいと考えています。  一方、行動制限の緩和が進む中で、一部の店舗において認証条件が守られていないなど、制度と現場の状況に温度差が生じてきたことも認識しています。  こうした中、国においても、パーティションの設置のルールを緩和するなど、現状に即した認証基準の見直しを行っており、県としても、認証店に対して、こうした情報の周知等を行っています。  また、私からは全国知事会の場で、第三者認証制度の廃止を含め、飲食店等に対する感染防止対策の抜本的な見直しの検討について訴えたところであり、制度終了に向けて、引き続き、国との調整を進めていきます。  次に、5類移行後の感染防止対策の働きかけについてです。  5類への移行とともに様々な制度や取組が大きく見直されますが、新型コロナウイルスそのものが消滅するわけではありません。したがって、5類移行後は、コロナとの共存を前提に日常生活や事業活動を営む中で、持続可能な形で感染防止対策に取り組んでいただくことが重要です。  こうした観点から、今後は、行政が認証というお墨つきを与えるのではなく、県民や事業者の皆様による主体的な感染防止対策が定着するよう促していきたいと考えています。  答弁は以上です。  〔斉藤たかみ議員発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 斉藤たかみさん。  〔斉藤たかみ議員登壇〕 ◆斉藤たかみ議員 知事から、御答弁を頂きました。  まず、1点、再質問をさせていただきます。  財政運営についてであります。  先ほども申し述べましたが、近年の食料品やエネルギー価格等の高騰により、県民や事業者を取り巻く環境は大変厳しい状況にあります。今後の財政運営を考える中で、こういった状況にも向き合いながら取組を進めていく必要があると考えます。  特に、物価高騰対策について、生活者への支援は、基本的には市町村の役割と承知をしておりますが、それぞれの支援内容にはばらつきがあるため、既に県内で格差が生じていると感じております。  こういうときこそ、県は広域自治体として、市町村間の格差を解消するための取組も進めていくべきではないかと考えますが、所見を伺います。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、お答えいたします。  物価高騰対策については、県は広域自治体として、活動範囲の広い事業者への支援を中心に実施してきました。また、生活者支援については、日頃から住民に接している市町村が、それぞれの実情に応じて判断すべきものと考えています。  さらに、全国一律で支援すべき事業については、国が制度化すべきであり、本県としても、全国知事会などを通じて、例えば、電気料金の高騰に対する負担軽減などについて、国に対し働きかけを行ってきました。  こうした中にあっても、県は、物価高騰に伴う消費者負担の軽減などの観点から、今回の予算案において、かながわPay第3弾などを計上しておりまして、全県を対象とした生活者支援を実施していきます。  県としましては、引き続き、国や市町村と連携し、物価高騰への対策を進めてまいります。  答弁は以上です。  〔斉藤たかみ議員発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 斉藤たかみさん。  〔斉藤たかみ議員登壇〕 ◆斉藤たかみ議員 知事から、再質問に対する御答弁を頂きました。  地域で活動をしていても、昨今の物価高騰の影響により、家計が大変苦しいという声を多く伺っております。そういった中、県内各自治体における、この物価高騰に対する補助一つとっても、県内で格差が生じている状況にあります。  当然、今、御答弁にありましたように、国が一律で行うべき事業については、国が制度化すべきという認識は私どもも合致をしておりますけれども、県としてでき得る限り、こういった県内の格差を平準化すべき事項についても、しっかりと対応していただければと思います。  また、こういった県民生活の実態も踏まえながら、健全な財政運営に今後も取り組んでいただきますよう要望をいたします。  それでは、以下、要望をさせていただきます。  県立中井やまゆり園における改革の見える化による虐待防止についてでありますが、これまで我が会派は、当園に対する様々な課題の指摘や、その見える化について提言を行ってきました。  こういった、いわゆる負の側面もそうですが、先ほど申し述べた、実際に行われているよい取組も見える化することで、県民総ぐるみとなった園の虐待防止につなげていくよう要望をいたします。  続いて、感染状況を踏まえた新型コロナウイルス感染症の5類への移行に係る対応といたしましては、この5月8日から、新型コロナが2類から5類へと移行されるわけでありますが、それを好意的に受け止めている方もいる一方で、不安に思われている方も多いかと思います。  特に年末年始の死亡者数が数多く報道され、不安に思われた方も多かったのではないでしょうか。  これまでも、県として重点的に対応してきた高齢者やハイリスクの方については、引き続き注意深く対応していただきますとともに、時勢に応じた新型コロナウイルス感染症にも取り組み、県民の安全・安心の向上に努めていただきますよう要望をいたします。  続いて、飲食店等における今後の感染防止対策についてでありますが、そのフェーズごとに議論を深めてきた、このマスク飲食実施店認証制度でありますが、先ほど申し述べたように、現在は実態に合っていないものと感じております。  当然この制度の廃止は、県単体で決められるわけではございませんが、この終了の働きかけを国に行うとともに、県内事業者に対する自主的な感染防止対策の働きかけを行うなど、対応を講じていただきたいと要望いたします。  以上です。  〔斉藤たかみ議員発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 斉藤たかみさん。  〔斉藤たかみ議員登壇〕 ◆斉藤たかみ議員 質問の第2は、安全・安心な社会の実現に向けた取組についてでございます。  〔資料提示〕  まず、旧統一教会に端を発した諸課題の1点目として、宗教の信仰等に関係する児童虐待対応及び霊感商法等の被害救済について伺います。  昨年8月、旧統一教会について、社会的に指摘されている問題に関し、悪質商法などの不法行為の相談、被害者の救済を目的として、関係省庁による連携した対応を検討するため、「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議が開催されました。  国では、昨年9月から10月の間、関係省庁による合同電話相談窓口を開設し、旧統一教会問題に関する相談に集中的に対応するとともに、全国の各相談窓口においても相談状況の分析がなされたところであり、窓口で受け付けた旧統一教会関連と見られる被害の訴えは2,367件に上るとの報告がなされました。  これを受け、国では、被害者の救済に向け、関係省庁で必要な体制・環境の整備を行うなどの確認がなされ、被害者の救済に向けた総合的な相談体制の充実強化のための方策が取りまとめられました。  この取りまとめでは、今後の取組として、法テラスの抜本的な充実・強化をはじめ、消費生活相談等の強化、精神的・福祉的支援の充実、こども・若者の救済などが挙げられております。  こうした流れの中、昨年12月には、厚生労働省から都道府県知事・市町村長に、宗教の信仰等に関係する児童虐待等への対応に関するQ&Aについての通知が発出され、宗教の信仰等を背景とする児童虐待事案について、適切に対応することが求められました。  また、本年1月には、消費者庁から、都道府県・政令指定都市に、消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律、法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律の施行についての通知が発出され、改正法及び新法の周知や、被害の防止・救済に向けた積極的な取組の支援の依頼などがなされたところであります。  このたびの国の見直しによって、霊感商法等による被害者への救済の道筋が示されましたが、県もこれを機に、霊感商法等による被害に遭われた方々に寄り添った対応をしっかりと行えるよう、国からの通知に基づく県の役割を踏まえながら、相談対応や窓口の周知などにしっかりと取り組んでいく必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  宗教の信仰等に関係する児童虐待への対応及び、いわゆる霊感商法や法人等からの不当な寄附の勧誘等による被害の防止や救済を図るための関係省庁からの通知を受け、どのように取り組むのか、所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、旧統一教会に端を発した諸課題の2点目として、宗教の信仰等に関係する公立学校における教育相談について伺います。  先ほど、厚生労働省や消費者庁から都道府県知事等に通知が発出されていると申し上げましたが、関連して、文部科学省からも、各都道府県・指定都市教育委員会教育長等に、昨年10月と11月に、「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議の結果を踏まえた児童生徒等の教育相談等の取組について等の通知が発出されました。  そこには、学校においては、宗教に関係することのみを理由として消極的な対応をすることなく、課題を抱える児童生徒の早期発見、早期支援・対応等に努めるといった内容が記載されております。  そこで、教育長に伺います。  「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議の結果を踏まえた、学校における教育相談の取組に係る文部科学省からの通知を受け、公立学校における教育相談に、どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、神奈川県水防災戦略について伺います。  世界的に見ても、異常気象の発生と被害リスクの増大が懸念される中、本県は、令和2年、台風被害からの復旧復興に取り組むことに併せ、近年の台風などによる大規模な水害における課題や教訓を踏まえ、水害への対応力強化のための対策として、神奈川県水防災戦略を策定し、現在、計画的、重点的に対策を進めております。  〔資料提示〕  策定から3年目となる水防災戦略について、新型コロナウイルス感染症との複合災害対策等、政策環境の変化を踏まえた対策の充実を図るため、来年度から3か年を見据えた改定戦略の案がこのたび取りまとめられ、2,000億円を超える計画額となったところであります。  これまで我が会派は、水防災戦略の改定について繰り返し求めており、前期の計画に比べ767億円も上回る計画となったことは、本県の防災対策の充実強化を図る観点からも、このたびの水防災戦略の改定提案を大いに評価しているところであります。  このように、戦略策定の趣旨にのっとり、大規模な風水害は必ず発生すると捉え、風水害対策の強化を図っていくことは、本県に課された大きな課題だと考えております。  そこで、知事に伺います。  県が、令和5年度から3か年の計画期間で打ち出した神奈川県水防災戦略について、強化したポイントを伺います。また、今後、戦略に基づき、風水害対策にどのように取り組むのか、併せて所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、保育所等における不適切な保育への対応について伺います。  昨年、全国各地の保育所等で、児童に対して、頭をたたいたり、どなったりするといった不適切な保育が相次いで発生し、社会問題となっております。  不適切な保育に関して、保護者の方が、保育事業の実施主体であり、行政指導する立場でもある市町村に相談しても、その定義が明確でないことや、第三者の目が行き届きにくい園内での出来事であること等から、保育所との主張が食い違い、納得できる解決には至らないというケースが数多くあるということは承知しております。  当然、保護者の立場からすると、取るべき対応を行ってくれないと不満に感じることと思いますし、一方で、子供は、不適切な保育を受けたとしても、それを十分に表現することができないことから、現場を目撃した保育士が園長に改善するよう訴えても実行されないといったケースや、園長自らが関与していたという事例のように、保育所自らの改善が見込めない場合もあるのも事実であります。  このような実情を鑑みれば、不適切な保育の発生や、その疑いがある場合には、市町村による行政指導ではなく、法に基づいた指導や改善を求めるといった対応が必要であると考えております。  〔資料提示〕  現状として、県は、保育所に対し、児童福祉法に基づく監査を行っており、近年は、新型コロナウイルス感染症の影響で、なかなか思うようにそれが実施できていない側面もありますが、その中でも、一つでも多くの監査を行い、不適切な保育が発生しないよう注意喚起を行っていくべきと考えます。  また、市町村による指導では解決に至らない場合には、県は速やかに監査に入り、事実関係を丁寧に調査した上で、保育所に原因究明と改善措置を求め、保護者にとっての最後のとりでとして、役割をしっかりと果たしていくことが大変重要であると考えております。  そこで、知事に伺います。  県は、不適切保育の未然防止と発生後の適切な対応に向け、監査体制の強化を図っていくべきと考えますが、所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、犯罪抑止対策について伺います。  県内の犯罪情勢についてでありますが、刑法犯認知件数がピークであった平成14年に約19万件を記録したことを受け、県警察を中心に、県民等と一体となった各種犯罪抑止対策を強力に推進してきた結果、年々減少傾向となっていることは評価しております。  しかしながら、昨年は9年ぶりに前年と比べ、増加に転じており、中でも、特殊詐欺の被害の増加は深刻で、多くの高齢者が多額の被害に遭うなど、被害は依然として高水準で推移をしております。  他方、県民ニーズ調査の県行政への要望の設問には、治安対策が常に上位に位置するなど、県民の治安対策に対する要望は高いものとなっており、犯罪抑止に対する県警察の担う役割は大きいものと認識をしております。  現在、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止の取組である行動制限が緩和される中、昨年末から、住宅などに対する強盗事件が連続発生しており、先月には、私の地元に隣接する宮前区でも、住宅内に複数の犯人が侵入し、住人を拘束した上、凶器で危害を加えて、現金等を奪う強盗事件が発生をしております。  そのほかにも、厚木市や茅ケ崎市では、刃物などの凶器を使用し、相手にけがを負わせたり、命を奪った上、犯人が凶器を持ったままその場から逃走するという報道を目にしており、昨今、体感的に凶悪な犯罪が多く発生しているように感じております。  こういった犯罪を報道等で見聞きすれば、いつ自分が被害に遭うかもしれないという不安が日々、県民の中でも高まっているのではないかと危惧をしております。  言うまでもなく、県民の安全・安心を確保し、体感治安を改善していくためには、社会情勢の変化に対応した犯罪抑止対策を行うことが重要と考えます。  そのためには、現在の犯罪情勢をしっかりと分析した上で、今まで以上に県民への情報発信や関係機関・団体、ボランティアとの連携を強化するなど、犯罪に強い社会づくりを進めていくことが必要であると考えます。  そこで、警察本部長に伺います。  県警察として、昨今の犯罪情勢を踏まえ、どのような犯罪抑止対策に取り組んでおり、今後どのように取り組まれるのか、所見を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 安全・安心な社会の実現に向けた取組について、何点かお尋ねがありました。  まず、旧統一教会に端を発した諸課題に関する宗教の信仰等に関係する児童虐待対応及び霊感商法等の被害救済についてです。  宗教の信仰等に関係する児童虐待や霊感商法などの被害者に対して、国と連携し、適切に対応することは重要な課題です。  まず、児童虐待への対応についてです。  児童相談所は、宗教に関係しているか否かにかかわらず、保護者の行為が子供に与える影響などを総合的に判断し、子供の利益を最優先に対応してきました。  今回、国から新たに宗教に関係した事案への対応に関する通知が発出され、弁護士や医師、県警察などとの連携が求められていることから、これを児童相談所間で共有して、より的確に対応していきます。  次に、霊感商法等に係る相談対応についてです。  県では、消費者ホットライン「188」、いややを窓口に、法テラスなどの関係機関と連携し、霊感商法や寄附に関わる相談に適切に対応しています。  今後、霊感商法等のトラブルに遭われた方に相談窓口を周知し、利用してもらえるよう、3月にLINEやユーチューブ等で動画を配信し、啓発を強化します。  加えて、県警察などと連携し、令和4年度2月補正予算案に計上した啓発グッズを幅広い世代に配布し、トラブル防止の啓発と相談窓口の周知を徹底します。  このほか、県は、来年度から着手するかながわ消費者施策推進指針の改定に当たり、霊感商法等への対応について検討し、きめ細かな啓発や被害者に寄り添った相談など、対策の一層の充実に努めてまいります。  次に、神奈川県水防災戦略についてです。  次期水防災戦略については、内容を大幅に充実させ、3か年の計画額は現行戦略の5割増の2,142億円とし、所要の事業費を本定例会の予算案に計上しました。  現行戦略から強化するポイントですが、ハード面では、流域全体で水害を軽減させる流域治水に転換することを軸に、事業内容の大幅な充実を図ります。  具体的には、減災効果の高い大規模河川事業のさらなる前倒しを図るとともに、治水対策に直結するダムのリニューアル事業等を新たに位置づけます。そのほか、早期の対応が必要な急傾斜地対策の一層の加速化を図ります。  ソフト面からは、再整備により、大幅に機能を強化する防災行政通信網の着実な運用など、防災DXの推進を位置づけます。また、災害時トイレプロジェクトを新たに位置づけ、避難所や家庭におけるトイレの備蓄促進や、防災拠点となる県有施設のトイレの改修などにより、災害時に深刻となるトイレ対策を強力に推進します。  こうした対策を格段に強化する次期水防災戦略は、予算案を議決いただいた後、3月中に取りまとめ、関係機関に周知していきます。  特に水害からの逃げ遅れを防ぐための避難対策を強化するには、市町村との連携が鍵となるため、次期戦略の内容を丁寧に説明し、積極的な取組を働きかけていきます。  さらに、毎年度、戦略に位置づけた事業の進捗管理の徹底を図り、取組状況も公表し、戦略の着実な推進に努め、本県でいつ発生してもおかしくない大規模な風水害に備えてまいります。  次に、保育所等における不適切な保育への対応についてです。  子供の安全・安心が最も配慮されるべき保育所等において、不適切な保育が行われることは断じて許されません。不適切な保育は、初めはささいなものであっても、次第にエスカレートする場合もあり、早い段階で改善を促すことが重要です。  県では、令和2年度に国が作成した不適切な保育に関する対応の手引を踏まえ、令和3年度に本県独自のガイドラインを取りまとめ、県と市町村の役割分担を明確にしました。  ガイドラインでは、事実関係の確認など初期対応は市町村が行いますが、児童に危険が及ぶおそれがある事案は、県が児童福祉法に基づく臨時監査を行い、改善指導を行うことを定めています。  こうした中、昨年11月に発生した他県の事案を受け、12月に市町村会議を開催し、県内の状況を把握するとともに、不適切な保育の疑いのある事案に対して、速やかに臨時監査を実施しました。  また、不適切な保育の未然防止を来年度の定期監査の重点事項とし、日頃の保育における人権擁護のためのチェックリストの提出を受け、不適切な保育の兆候がないか確認していきます。  県は、市町村と連携して、迅速な監査の実施により、不適切な保育の未然防止や発生時の適切な対応を図り、児童が安心できる環境の確保に努めてまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(花田忠雄)発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 花田教育長。 ◎教育長(花田忠雄) 教育関係の御質問にお答えします。  宗教の信仰等に関係する公立学校における教育相談についてお尋ねがありました。  「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議の結果を踏まえた文部科学省通知では、スクールカウンセラーなどと、チーム学校として教育相談に取り組むことや、児童相談所等と連携して必要な支援を行うことなどを求めています。  県教育委員会では、来年度から市町村教育委員会と連携し、新たな教育相談の仕組みとして、全国に先駆けて、かながわ子どもサポートドックを実施したいと考えています。  これは1人1台端末を使って、子供たちが心の状態などを自己チェックし、その結果を基に、スクールカウンセラー等が面談を行い、医療・福祉等のアウトリーチにつなげる仕組みであり、国の通知の求めにもかなったものです。  この仕組みによって、声を上げられない子供も含めて、貧困や虐待、ヤングケアラーなどの困難をいち早く発見し、早期支援に努めてまいります。  また、その困難が宗教に関係することであっても、消極的にならず、子供の心情に寄り添った対応を図るよう、サポートドックの運用に当たっては、関係者にしっかり周知してまいります。  私からの答弁は以上です。  〔警察本部長(林  学)発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 林警察本部長。 ◎警察本部長(林学) 犯罪抑止対策についてお答えいたします。  令和4年の県内の刑法犯認知件数は3万6,575件であり、過去最多を記録した平成14年の19万173件と比較すると、5分の1以下ではありますが、令和3年と比較して、約3,300件、約10%の増加となりました。  中でも、高齢者が被害者の多くを占める特殊詐欺が大きく増加したほか、依然として、不審者による子供への声かけ事案や、女性に対するわいせつ事案等も県内各地で発生しています。  さらに、民家に押し入る強盗事件のほか、被害者に刃物等の凶器で危害を加え、凶器を所持したまま被疑者が逃走するといった、社会に大きな不安を与える事件も発生しています。  このような中、県警察では、地域の犯罪情勢の分析や、地域住民の要望等を踏まえ、警察官による警戒活動を推進するとともに、ボランティア団体等と連携した防犯活動を推進しております。  具体的には、地域住民等に対する防犯情報の提供や、行政機関、防犯ボランティア団体等と連携した広報啓発活動のほか、自治会や商店街等による防犯カメラの設置を働きかけるなどの犯罪抑止対策に取り組んでおります。  特に、被疑者が凶器を所持したまま逃走するなど、連続して被害が発生するおそれのある重要凶悪事件等の発生時には、ピーガルくん子ども安全メールや様々な広報媒体を活用して、迅速に地域住民等に対し、事案の概要や具体的な防犯対策等の情報提供を行っております。  あわせて、制服警察官によるパトロールや児童等の登下校時の見守り活動など、事案に応じた警戒強化を行っております。  このほか、本年1月の大学入学共通テストの際には、電車を利用する受験生に対する痴漢や盗撮等の被害を防止するため、鉄道事業者と連携した痴漢撲滅キャンペーンを展開するとともに、警察官による電車内及び駅周辺の警戒を実施したところです。  県警察としましては、今後も引き続き、犯罪情勢を的確に分析し、警戒・検挙活動を推進するとともに、タイムリーな情報発信や関係機関・団体等との連携を一層強化し、県民の視点に立った、より効果的な犯罪抑止対策を推進してまいります。  以上でございます。  〔斉藤たかみ議員発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 斉藤たかみさん。  〔斉藤たかみ議員登壇〕 ◆斉藤たかみ議員 知事、教育長、警察本部長から、それぞれ御答弁を頂きました。  まず、1点、再質問をさせていただきます。  保育所等における不適切な保育への対応についてであります。  不適切な保育は決して許されるものではありませんが、一方で、その原因の一つとして、保育現場の忙しさも背景にあるのではないかと考えます。  未然防止のためには、監査の充実のほか、保育士の負担軽減や資質向上なども必要と考えますが、今後どのように取り組んでいかれるおつもりなのか、御所見をお伺いいたします。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、お答えいたします。  12月に実施した市町村との会議では、保育士の業務が増加していることが、不適切な保育が発生する原因であるという意見が多くありました。  そこで、保育士の負担軽減のため、令和5年度当初予算案において、清掃、洗濯などの業務を担う保育支援者の雇用や、配置基準外の短時間保育士の雇用に対する補助を拡充するための事業を計上しています。  また、県が実施する中堅保育士向けの研修に、不適切な保育に関する項目を新たに設け、実際の事例や発見時の対応などを学ぶことで、不適切な保育の未然防止に努めてまいります。  答弁は以上です。  〔斉藤たかみ議員発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 斉藤たかみさん。  〔斉藤たかみ議員登壇〕 ◆斉藤たかみ議員 知事から再質問に対する御答弁を頂きました。  全国的に不適切な保育が社会問題となっております。県として、一つでも多くの保育所の監査を行って、不適切な保育が発生しないよう注意喚起を行っていただくとともに、保育士の負担軽減や資質向上も重要な要素であると考えますので、その点も併せ、対応を図っていただきますよう要望をいたします。  以下、他の項目、要望をさせていただきます。  旧統一教会に端を発した諸課題についてでありますけれども、昨年、旧統一教会問題に関し、関係省庁から通知がありまして、県としても対応を求められているものと認識をしております。知事並びに教育長から、それぞれ御答弁いただいたわけでありますが、まずは、かながわ消費者施策推進指針の改定や、児童虐待の早期発見・早期対応に努めていただきたいと思います。  また、学校における教育相談については、子供たちはSOSを出しにくい状況にあるという意識を持って、宗教に関係することのみを理由として消極的な対応をしないよう、スクールカウンセラーやソーシャルワーカーへ周知するなど、全力を挙げて、子供たちの心理的・福祉的支援に取り組んでいただきますよう要望をいたします。  また、県教育委員会が実施をしている、LINEを活用したいじめ相談では、いじめに関する相談というのは大体3割ぐらいと聞いております。友人関係や心の問題などの相談も多いと伺っております。  LINEは、子供たちが日頃使い慣れており、気軽に相談できるツールの一つでありますので、このような宗教問題に関する相談も含め、有効なものと考えております。活用がさらに進むよう、こういったいじめ相談という名称にこだわることなく、例えば悩み相談とするなど、相談しやすい環境整備に取り組んでいただきますよう要望をいたします。  次に、神奈川県水防災戦略についてでありますけれども、このたびの改定提案を大いに評価しているところであります。今後、戦略に基づいて、風水害対策にしっかりと取り組んでいただきますよう要望をいたします。  次に、犯罪抑止対策についてでありますが、平成14年と比較して、現在は約5分の1程度にまで減少していることを率直に評価しております。  一方で、体感治安の減少は相関関係にはないわけでありまして、やはりこの背景には、一件一件ごとの事件の凶悪化、そういったものが報道等で流れることによって、改善が図られていないものと感じております。  ぜひとも社会情勢の変化に応じた犯罪抑止対策を行って、県民の安全・安心の向上に努めていただきますよう要望をいたします。  以上です。  〔斉藤たかみ議員発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 斉藤たかみさん。  〔斉藤たかみ議員登壇〕 ◆斉藤たかみ議員 質問の第3は、かながわの未来に向けた取組についてであります。  〔資料提示〕  まず、知事の4年間の政策総括について伺います。  知事は2011年に就任以降、いのち輝くマグネット神奈川の実現を基本理念に据え、太陽光発電など再生可能エネルギーの普及促進や未病改善、ともに生きる社会かながわの推進など、様々な施策に取り組んでこられました。  〔資料提示〕  令和4年度は、2019年に策定したかながわグランドデザイン第3期実施計画の最終年度となり、政策全般について点検を行っていることは承知しており、先般、第3期実施計画点検報告書案について、総合計画審議会で議論が行われましたので、その点検結果について注目をしているところであります。  我が会派としては、新型コロナウイルス感染症対策について、先んじて手を打つなど一定の評価をしておりますが、一方で、課題のある取組もあると考えております。  例えば、未病については、県が進める政策の方向性は理解するものの、県民の目に見える成果としては分かりにくいと思います。  中でも、未病のプロジェクトで指標としている特定保健指導の実施率は全国45位であり、健康無関心層への啓発は不十分ではないかと考えます。  その他、脱炭素社会に向けて、再生可能エネルギー導入の一層の促進が必要でありますし、男女共同参画については、県の審議会等における女性委員の割合が目標に届いていないなど、まだまだ進めていかなくてはならない課題があると認識しております。  県民を取り巻く状況は、3年以上にわたるコロナ禍に加え、ロシアによるウクライナ侵攻による物資の停滞、急激な円安による物価高騰など大きく変化しており、こうした社会の変化は多くの分野に影響を及ぼしております。  少子高齢化、人口減少が進み、今後、様々な社会的、経済的な課題の深刻化が懸念され、個々の分野の施策だけでは対応が難しいと考えられることから、行政課題を幅広い視点で捉え、一層総合的に政策を展開していくことは必要であり、そのためにも、4年間の様々な取組の成果や課題をしっかりと振り返り、今後に生かしていくことが重要と考えます。  そこで、知事に伺います。  知事の4年間の政策総括として、かながわグランドデザイン第3期実施計画の点検結果と今後の取組について、どのように考えているのか、所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、県職員のメンタルヘルス対策について伺います。  総務省が昨年末に公表した地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果によると、令和3年度中にメンタルヘルス不調により、1か月以上の期間にわたり、病気休暇や休職等となった都道府県職員は全国で約1万2,000人、職員全体の1.2%に達しているとのことであります。  職員1人当たりの時間外勤務についても、令和元年度以降、徐々に増加してきており、新型コロナウイルス感染症対策による業務負担の増加などが背景にあるものと思われます。  本県においても全国と同様、ここ数年の時間外勤務は増加傾向にあるとのことであり、知事部局において、新たに休職した職員数も増加傾向にあるのではないかと考えられます。  新型コロナウイルス感染症対策については、現在、感染症法上の分類見直しの議論も進められており、今後、行政の役割が一定程度縮小することが見込まれるものの、社会環境の変化が激しく、今後も様々な行政課題が生じると想定されます。  人口減少社会を迎える中、限られた職員数で、質の高い県民サービスを提供していくためには、職員一人一人が心も体も健康に働ける環境を整えることは大変重要であり、長時間労働の是正など働き方改革をより一層推進するとともに、メンタルヘルス不調の未然防止や早期発見、休職後の円滑な職場復帰に向けた支援など、総合的な対策を進める必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  職員一人一人が能力、意欲を最大限発揮し、生き生きと働けるよう、実効性あるメンタルヘルス対策を進めていくことが、より一層重要と考えますが、所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、小児医療費助成制度について伺います。  このたび県は、小児医療費助成について制度を拡充し、これまで通院の場合に就学前の6歳までとしていたものを、小学校卒業の12歳までとする予算案を提案しました。  小児医療費助成の拡充についての取組は各市町村も進めており、我が会派も以前からこの問題を繰り返し取り上げてまいりましたので、この提案については高く評価をするものであります。  子育て施策について、国もようやく本腰を入れ始め、次元の異なる少子化対策として、首相からも方針が示されましたが、県はこうした状況を捉え、県内市町村と連携し、国へ全国一律の小児医療費助成制度の創設を求める要望をされたところであります。  知事はかねてより、子供の医療費助成については、国が全額負担すべきという発言をしており、その点、我が会派も同意をいたしますが、国の制度がない中で、本県も県内市町村と連携し、取組を進めてきたものと認識をしております。  そこで、知事に伺います。  令和5年度当初予算案における小児医療費助成制度の拡充について、その狙い、財政規模、市町村との連携も含め、知事の所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、教員の質の確保と採用について伺います。  教員採用選考試験の志願者数は、近年、全国的に減少傾向にあり、今年度の公立小学校教員の受験者数は、昨年度より全国で約2,000人減少したとの報道もあり、教員を志願する者の減少に歯止めがかかっていない状況にあります。  その理由は様々あると承知しておりますが、報道等で教員の長時間労働が取り上げられるなど、教員の多忙化がクローズアップされ、それを懸念した学生等が教員になることを避けるということもあるのではないかと考えております。  我が会派ではこれまでも、度々、教員の確保や働き方改革について取り上げてきましたが、県教育委員会が教員の働き方改革や教員採用選考試験の工夫改善、教員を目指す大学生や志願者に対する説明会等を県内外で開催していることは承知しておりますが、これらに加えて、これまでとは違う視点でも取り組む必要があると考えております。  〔資料提示〕  今回、教育長に提案したいことは、奨学金の返還補助制度の創設についてであります。  実際に山梨県は、県内の公立小学校に教員として一定期間勤務することを条件に、志願者が日本学生支援機構から貸与を受けている奨学金の返還の一部を補助する事業を行っており、岐阜県でも、来年度から同様の事業を開始するという報道もあったところであり、このような取組は、教員の質の確保と採用に一定の効果があるものと考えます。  もちろん、こういった事業のみで教員志願者の減少を解決できるとまでは考えておりませんが、本県でも検討してみる価値はあるのではないかと考えます。  そこで、教育長に伺います。  本県で教職に就くことに対して、奨学金の返還を補助するといったインセンティブを与えるなど、教員志願者の確保に努めるべきと考えますが、どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。  〔資料提示〕  最後に、教育施設の環境整備と財源の確保について伺います。  県立学校や社会教育施設については、施設全体の老朽化などが問題となっており、県教育委員会では、児童・生徒等の安全を確保し、快適で安心できる学習環境の整備をするため、新まなびや計画に基づき、県立学校の耐震補強工事や老朽化対策等を実施していることと承知をしております。  また、県民の生涯にわたる学びを支える環境をつくる上で、県立社会教育施設の利用環境を整備していくことも欠かせませんし、教育への投資は、本県の将来の発展につながるものであり、県立学校や社会教育施設の環境整備を着実に進めていくことが重要であります。  未来を担う子供たちの教育環境の整備は特に重要であり、老朽化した備品の更新等については、より一層のスピード感を持って取り組むことが重要であります。  また、将来にわたって、厳しい財政状況においても安定的に整備を推進していくためには、民間資金の活用について効果的に取り組むことが必要と考えております。  〔資料提示〕  県教育委員会においては、神奈川県まなびや基金において、寄附型のクラウドファンディングである事業提案型の寄附募集を実施していると承知をしておりますが、同窓会など特定の学校関係者以外にも、もっと関心を持っていただくよう、より効果的に周知していくことや、県立社会教育施設にも積極的に提案してもらいたいと考えております。  例えば、子供教育支援活動を行っているNPO法人のホームページでは、寄附金によって、どのように子供たちを救えるということが分かりやすく伝わるものとなっておりますので、そういった視点を持ち、改善を図ることや、募る寄附金の規模に応じては、民間事業者が運営するクラウドファンディングサイトも活用することにより、より多くの方に対してPRすることができるのではないかと考えます。  そこで、教育長に伺います。  県立学校や社会教育施設といった教育施設の環境整備について、今後どのように取り組んでいくのか、また、民間事業者が運営するクラウドファンディングサイトなども活用して寄附募集を効果的に取り組むことにより、財源の確保にも努めるべきと考えますが、併せて所見を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) かながわの未来に向けた取組について、何点かお尋ねがありました。  まず、私の4年間の政策総括についてです。  かながわグランドデザイン第3期実施計画の計画期間中は、大半がコロナ禍に見舞われ、取組の縮減等の見直しや県主催イベントの中止・延期などにより、KPIの進捗率が低い施策もありました。  外出自粛や施設の利用制限が求められる中、例えば未病では、これまで対面で実施してきた県民向けセミナーができなくなったことから、オンライン形式を試みるなど、工夫して実施してきました。また、今後は、企業との連携をさらに進めるなど、未病改善の自分事化や行動変容を加速させていく必要があると考えています。  一方、人口が転入超過となる市町村が増えたことや、待機児童数が過去最少を更新したことなど、県の着実な取組が成果に結びついたものもありました。  このように、グランドデザインの点検を通じて、今後の課題や方向性を整理するとともに、超高齢社会や人口減少社会への対応として取り組んできた政策の方向性は適切であったことを確認しました。  県民ニーズが多様化し、課題が複雑化する中、例えば、少子化対策は子育て施策だけでなく、雇用や住宅、教育など様々な課題が相互に関連しており、一層、分野横断的な視点での政策展開が必要です。  こうした視点も踏まえ、来年度、基本構想の見直しに着手するとともに、併せて実施計画の策定にも取り組みます。  人口減少が進み、国際情勢の不安定化など、将来の不確実性が高まる中にあっても、県民の皆様と長期的なビジョンを共有することが重要であり、グランドデザインの点検結果を生かして、新たな総合計画の策定に取り組んでまいります。  次に、県職員のメンタルヘルス対策についてです。  県ではこれまで、職員のメンタルヘルス対策として、未然防止、早期対処、職場復帰支援という三つの体系で取組を進めてきました。  具体的には、未然防止の取組として、長時間残業をした職員への医師による過重労働面接や、全職員へのストレスチェックを実施しています。  また、早期対処の観点から、メンタルの不調を感じた職員への相談体制を整備し、これまで、産業医の増員や相談日数を増やすなど、体制を強化してきました。  さらに、休職に至った職員に対しては、復職前に職場に来る日数等を徐々に増やして、慣らしながら円滑な復旧を図る職場リハビリテーションも実施しています。  こうした中で、新型コロナウイルス感染症との闘いが長期化し、職員の業務負荷が増す中、令和4年4月1日現在の休職者は、前年の約1.5倍に増加しており、メンタルヘルス相談件数も高止まりしています。  そこで、県では、相談スタッフを増員し、職員への相談体制のさらなる充実を図るなど、メンタルヘルス対策を強化していきます。  あわせて、職場でのコミュニケーションを一層活性化させるため、朝夕ミーティングなどの働き方改革の取組の徹底に加え、座席を固定しないフリーアドレスの拡大など、オフィス環境の改善も進めます。  このように、総合的な対策を講じることによって、メンタル不調の未然防止を図り、職員の命が輝き、心身ともに生き生きと働ける職場環境づくりを進めてまいります。  最後に、小児医療費助成制度についてです。  県は、市町村と一体となって子供の健全育成と保護者の経済的負担の軽減を図るため、小児医療費を助成する市町村への財政支援を行っています。  小児医療費の助成は、国が全国一律の制度として措置すべきであり、これまでも国に働きかけてきましたが、いまだ実現されていません。  こうした中、市町村は小児医療費助成制度の拡充を図ろうとしており、県も市町村へのより一層の支援が必要と判断しました。  そこで、県は本年4月から、通院の助成対象年齢を就学前から小学校卒業までに引き上げることとし、令和5年度当初予算案に制度拡充分約25億9,000万円を含む総額約60億円を計上し、円滑な実施に向け、現在、市町村と調整を進めているところです。  また、今回の制度拡充により、市町村の財政負担が軽減されることから、その財源を活用した子ども・子育て施策のさらなる充実を働きかけたところ、多くの市町村で小児医療費助成制度の対象年齢を引き上げるなど、施策の充実が図られようとしています。  さらに、国が次元の異なる少子化対策を考えている、このタイミングを捉えて、先月31日に厚生労働省と内閣府に対し、私が県市長会、町村会と共に、全国一律の助成制度を早期に創設するよう、直接要望を行いました。国からは、重要な課題と認識しており、しっかりと向き合っていきたいとの意見を頂きました。  今後、国は、子ども・子育て施策について、地方と協議する場を設けると聞いていますので、こうした場を通じて、全国一律の助成制度創設に向け、全国知事会や県市長会、町村会と連携して働きかけていきます。  県は、子供たちが、どこに住んでいても安心して医療を受けられるよう、引き続き、市町村と一体となって取り組んでまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(花田忠雄)発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 花田教育長。 ◎教育長(花田忠雄) 教育関係の御質問にお答えします。  教員の質の確保と採用についてお尋ねがありました。  県教育委員会ではこれまで、教員採用試験の改善に加え、教員志願者の裾野を広げるため、高校生のための教職セミナーを開催するなど、可能な限りの取組を行ってきました。しかし、全国的な傾向と同様、本県においても教員採用試験の志願者は減少しており、教員の確保が難しくなっています。  御提案のあった、教員として勤務することを条件に奨学金返還の一部を補助する事業については、山梨県が今年度の採用試験から導入しました。それでもなお、山梨県では志願者の減少に歯止めがかからない状況と聞いていますので、本県における、この制度の導入には慎重な検討が必要と考えています。  一方、過日発表した来年度の教員採用試験の概要では、本県の教員を目指す方を対象に実施している、かながわティーチャーズカレッジの修了者に筆記試験の免除範囲を拡大することにしました。また、支援教育の充実に向けた対応として、小中学校等の試験では、特別支援学校教諭の免許を有している方に筆記試験で加点するなど、志願のインセンティブを高める見直しを行っています。  県教育委員会ではさらに、教員採用試験の機会の拡大などについて現在検討を進めており、今後も様々な工夫を図りながら、教員志願者の確保に全力を挙げて取り組んでまいります。  次に、教育施設の環境整備と財源の確保についてお尋ねがありました。  現在、県教育委員会では、新まなびや計画により、計画的に学校施設の再整備に取り組むとともに、社会教育施設についても、各施設の修繕計画を踏まえ、順次、老朽化対策等に取り組んでいます。  来年度は、学校施設の再整備に約246億円、社会教育施設等の老朽化対策に約10億円を講じるほか、学校施設の修繕や備品の更新等の予算を約44億円増額して、教育環境の整備を加速したいと考えています。  教育環境の継続的な整備には、このように多額の予算が必要となりますので、自主財源の確保から、まなびや基金への寄附は大変貴重です。  令和3年度からは、学校等が成果目標を掲げた事業プランを提案し、その整備事業に対して寄附を募集する取組も開始しましたが、一般の方々や企業に十分に浸透しておらず、寄附が集まらないものもあります。  そこで、県教育委員会では、より多くの方が共感し、寄附したいと思っていただけるよう、ホームページを、動画等を活用して訴求力のあるものに改善するほか、企業版ふるさと納税制度の活用を検討していきます。  また、御提案のあった民間のクラウドファンディングサイトは、事業者の審査に時間がかかり、手数料が必要などの課題はありますが、提案事業を広くPRする上で有効な手段の一つと考えています。  県教育委員会としては、こうした様々な手段を積極的に活用し、学校だけでなく、社会教育施設も含めて、効果的な寄附募集に取り組み、今後も教育環境の整備に向けた財源確保に努めてまいります。  答弁は以上です。  〔斉藤たかみ議員発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 斉藤たかみさん。  〔斉藤たかみ議員登壇〕 ◆斉藤たかみ議員 知事、教育長から、それぞれ御答弁を頂きました。  まず1点、再質問をさせていただきます。  教育施設の環境整備と財源の確保についてであります。  教育長から今、前向きな御答弁があったと認識をしておりますが、県立社会教育施設の環境整備に関して、老朽化した備品の更新など、十分に措置できていない面もあると認識をしております。  社会教育施設の環境整備に向けては、多くの県民が利用する施設でもあり、利用に支障等が生じる前に対応していくことが必要と考えますが、教育長の所見を伺います。  〔教育長(花田忠雄)発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 花田教育長。 ◎教育長(花田忠雄) 教育関係の再質問にお答えいたします。  県民の皆様に図書館など県立社会教育施設における学びを提供する上で、その環境整備は大変重要です。  そこで、その利用に支障が生じる前に必要な対応を行うため、来年度は、昨年9月に開館した県立図書館の本館に続き、収蔵館の改修工事に着手するほか、生命の星・地球博物館の電気設備や空調設備の改修工事などに、しっかり取り組んでいきたいと考えております。  以上でございます。  〔斉藤たかみ議員発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 斉藤たかみさん。  〔斉藤たかみ議員登壇〕 ◆斉藤たかみ議員 教育長から再質問に対する答弁を頂いたところであります。  県立社会教育施設の環境整備に向けては、施設の意見も聞きながら、効果的に取り組んでいただきますよう要望をいたします。  また、まなびや基金の事業提案型の寄附募集については、何のために寄附を募集しているのか、頂いた寄附により、どういった成果を得られるのかといった目標や成果を分かりやすく伝えることでストーリー性が高まり、多くの方々にもっと共感を得られ、寄附文化の醸成にもつながるものと考えますので、より一層、効果的な寄附募集に取り組んでいただきますよう要望をいたします。  以下、他の要望に移らせていただきます。  まず、知事の4年間の政策総括についてであります。  未知のウイルスであった新型コロナウイルス、これに直面したときに、様々、果敢に挑戦をされ、県民の命を守ってこられたこと、さらには、その大切にしている命を守るという理念の下、自殺対策にも取り組んで、しっかりと成果を出しているということを高く評価をするところであります。一方で、課題のある取組もあると認識をしております。  今後、様々な社会的・経済的な課題の深刻化が懸念をされることから、行政課題を幅広い視点で捉え、一層、総合的に政策を展開していくことが重要であり、ぜひともこの4年間の様々な取組の成果や課題をしっかりと振り返り、今後に生かしていただきますよう要望いたします。  それと最後に、県職員のメンタルヘルス対策について要望をいたします。  本県においても全国と同様、ここ数年の時間外勤務は増加傾向にありまして、知事部局において新たに休職した職員数というのも、増加傾向であるということを理解することができました。今、御答弁でありました1.5倍というのは、非常に衝撃的な数字でありました。  この長時間労働の是正など働き方改革をより一層推進するとともに、メンタルヘルス不調の未然防止や早期発見、休職後の円滑な職場復帰に向けた支援など総合的な対策を進め、職員が生き生きと働ける環境整備にしっかりと御尽力していただくよう要望し、私の代表質問を終わります。  ありがとうございました。                               〔拍 手〕 ○副議長(曽我部久美子) お諮りいたします。  本日の質問はこの程度で終わり、次回、引き続き質問並びに質疑を行いたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(曽我部久美子) 御異議がないと認めます。  よって、本日の質問はこれで終わります。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(曽我部久美子) 以上で、本日の日程は終了いたしました。  次回の会議は、明17日午後1時に開きます。  本日はこれで散会いたします。誠に御苦労さまでした。                  午後5時20分 散会...